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2019/06/29

プラスチックゴミを減らせ!

プラスチックゴミで溢れる西アフリカのビーチ。
リゾートホテルのすぐ脇だが、泳ぐ気にはなれない。

プラスチックゴミに取り組む世界


G20が大阪で開催されている。ここでもプラスチック問題が議題に挙がっている。

このところ、多くの国際会議で議題となっているプラスチックゴミ。協調して取り組んで行こうと、他の環境問題に比較して意外にすんなりと合意されているのは、取り組みやすい課題であり、目に見える効果をアピールできるからだろう。無料で配布していたストローやショッピングバッグを取りやめることは、企業にとっても、他の企業が同時に取り組む場合には、大きな壁にはならないということだろう。

ケニアの国連事務所内のカフェに
掲示されていたポスター
実は、日本はプラスチック問題への取り組みではかなり遅れをとっている。

フランスは2016年にプラスチックのカップや皿を禁止しているし、2020年1月には、使い捨てのストロー、ショッピングバッグなどが違法になる。それに先立ち、イギリスは、2015年にプラスチックバッグに税金をかけている。2018年には、EUが2021年までに使い捨てプラスチックを禁止することに合意。カナダのトルドー首相も今年6月に禁止の方向を表明したところだ。

日本では、ようやく買い物でのプラスチックバッグの有料化が見込まれているが、現在でも、買い物のたびに無料なら袋をもらう買い物客がまだまだ多い。ひどいことに、有料になる前に溜め込もうというような、プラスチックゴミ対策の趣旨を理解していない市民もいるようだ。プラスチックゴミに関する報道は増えているし、国際協調に関しても報道されているのに、市民のレベルでの地球市民としての自覚はかなり低い。



先を行く東アフリカの国々


一方、アフリカでは取り組みが進んでいる。ケニアはすでに2017年に使い捨てプラスチックを違法としている。なんと逮捕者すら出ているという厳格な取り組みだ。

リンク:ケニアのプラスチック禁止に関するガーディアンの記事


2018年夏、ナイロビの国連事務所で行われた国際ワークショップに参加して1週間ほど滞在した際には、スーパーでの買い物のたびにエコバッグを持参しなければならなかった。カフェでもプラスチックはもちろん禁止。ストローは紙製だ。ワークショップの記念品も紙製ストローだったのが印象深かった。

紙製のストロー
最初は、UNEP(国連環境計画)の本部があるナイロビならではなのかと思ったが、どうやら国全体で広く認識と取り組みが行き渡っているようだ。それだけプラスチック汚染が深刻なことも一因だろうが、罰金や拘束などの厳しい処置も効果を上げているのかもしれない。もともとプラスチック製品産業がそれほど大きくなかったことも立法・施行しやすかった理由の一つだろう。

タンザニアも後に続いた。違反者は罰金を科せられる。東アフリカでは、自然を求めて訪れる観光客がもたらす収入の割合が大きいので、プラスチックゴミの削減は国のイメージと収入確保に貢献するだろう。

実は、もっと早く取り組みを始めていたのはルワンダだ。2011年に訪れたときには、すでにプラスチックバッグが禁止されていた。スーパーでは紙袋のみだったが、冷たいものを入れたら濡れて破れてしまい「プラスチックの袋はないの?」と聞いたら、「牢屋に入れられるよ!」と、いったい何を考えているのだ、というような表情で返事が返ってきた。貴重なマウンテンゴリラに会いに訪れる観光客にとってルワンダのクリーンなイメージは美しい思い出作りに貢献する。ルワンダの経済発展のスピードを見ると、この国の政策が周辺諸国にもたらしているインパクトに納得する。

プラスチックゴミのないハワイのビーチ。
アザラシが時々昼寝にやってきて観光客を楽しませてくれる。


プラスチックゴミの脅威は加速度的に増している。とりわけ海洋汚染は深刻だ。太平洋の真ん中には大きなゴミの集合が浮遊しているし、すでに細くなって海水に溶け出したプラスチックがもたらす被害の研究報告を読むとぞっとする。目に見えるゴミとしても処分できなくなる日も近いだろう。今まで外国に輸出していたプラスチックゴミが受け入れられなくなり日本やヨーロッパの国々に戻される可能性が高いという。