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2017/08/19

グリーン・テキサス③ コウモリの大洞窟



久しぶりに体を動かすと、やけに動きが鈍くなる。これと同じことが文章を書くことにも当てはまるらしい。長いことブログを休んでしまったせいで、再開のきっかけをなかなかつかめなかった。

テキサスに行ったのはだいぶ前になってしまったが、もうひとつ紹介したい印象的な生き物がいる。

それは、コウモリだ。



世界最大のコウモリの乱舞


ここテキサスにあるブラッケン洞窟では、コウモリの大出現を見ることができる。

夕暮れ前に、コウモリの保護に取り組むBats Conservation Internationalのココさんと待ち合わせした。

地図を広げてメキシコオヒキコウモリ保護
プロジェクトについて説明してくれるココさん。
コウモリのデザインのピアスが素敵。
ここに住むコウモリは、メキシコオヒキコウモリ(Mexican free-tailed bats、学名 Tadarida brasiliensis)。なんと1500万もの大群で、世界最大の規模だ。夏の間、ものすごい数のコウモリたちはここで子育てをする。

まず、ココさんがブラッケン洞窟のコウモリと他の生き物との関係、ここでの保全活動に関してブリーフィングをしてくれた。コウモリは、害虫を食べ、糞を肥料としてもたらし、地域の農業に極めて重要な役割を果たしている。また、この地域の猛禽類などの野生動物にとっては、獲物ともなるという。


大洞窟からコウモリの大群が出現


洞窟の周りには蚊が多い。痒さに耐えながら辛抱強くコウモリを待っていたが、なかなか姿が見えなかった。が、少し暗くなってきた頃、ココさんが数匹が動き出したことに気づいた。「始まるわよ!」すぐに洞窟の入り口にたくさんのコウモリが現れた。




彼らはまるでプログラムされているかのように徐々に外に飛び出し連隊を作る。その先がずっと先まで伸びていく。コウモリが形作る螺旋は、形を変えながら何度も大きく回転し、洞窟に戻っていく。螺旋は、何パターンの動きを作り出せるのかを試しているかのように、何度も何度も動きを繰り返す。地上から見ると、まるでドラゴンが空を駆けていくようだ。そういえば、東南アジアの龍の伝説は、コウモリが空を飛ぶ様子から生み出されたという説が有力である。





見事な動きがずっと続いた。しかし、外には危険がある。タカやフクロウなどの猛禽類に捕まり餌になるのだ。彼らがほぼ同じ時間に同じ場所から現れることを捕食者たちは知っていて、特に洞窟から飛び出したばかりのタイミングで狙われやすい。コウモリが動きだすと、穴の上にタカが現れ、コウモリを捕らえて行った。

メキシコオヒキコウモリは重要な食物連鎖の一員

あまりにたくさんのコウモリが飛び交うため、空中で衝突して絡まり地上に落ちてくるものもいる。コウモリは特殊な音波を出して衝突しないように飛ぶことができるそうだが、ここまでの大群だと完璧に衝突を避けることはできないのか。

落下したコウモリは、死んだり、気絶したりする。そんなコウモリを狙って蛇やアライグマがやってくる。コウモリたちはこの地域の生き物にとって重要な食料となっているのだ。

空中で衝突して落下したコウモリ。
感染症の危険があるため触ってはいけない。


この大洞窟には、大学の研究者が定期的に訪れている。研究者が撮影したビデオもYou Tubeなどで公開されている。穴の先には広大な洞窟が広がり、数メートルもコウモリのフンが積み上がっていて、ニオイもなかなか。洞窟の中を歩くのはなかなか大変そうだ。

黒い宝石のニオイ 〜コウモリと南北戦争


フンといえば、ブラッケン洞窟のコウモリは、1860年代にアメリカ南北戦争で重要な役割を果たした。フンから硝石ができる。南部側に加わったテキサス州の戦士たちは、コウモリのフンを銃の火薬に利用したのである。また、1900年代には、フンは肥料として、周辺に農地を抱えるこの地域の重要な産物になる。フンは「黒い宝石」と言われたそうだ。コウモリたちが飛ぶ下に、当時のコウモリ小屋の跡を見ることができる。

コウモリのフンについて設営するボード

コウモリを守る


ココさんは、バット・コンサベーション・インターナショナルでボランティアとして環境教育活動を行っている。

この洞窟の周辺には農地が広がっているが、サンアントニオ市から近く、都市化の波が迫る。もしブラッケン洞窟がなくなってしまえば、1500万匹ものメキシコオヒキコウモリが生きていくことが難しくなる。このコウモリがもたらしてくれた農業への恩恵はなくなり、生態系も大きく変わってしまうだろう。その影響は、テキサスだけにとどまらず、冬を過ごしてきた温暖なメキシコの生態系や人々の営みにも影響を及ぼすはずだ。

土地を買うという自然保護


バット・コンサベーション・インターナショナルは、まずブラッケン洞窟を1992年に購入。次に周辺の農地を購入していった。2014年(ハロウィーンの日!)に自然保護NGOネイチャー・コンサーバンシーが洞窟につながる615ヘクタールを購入し保護活動が後押しされた。しかし、コウモリが飛んでいく方向には大きな市街地がある。まだまだ取り組むことは多い。

ココさんは、小学生や市民にコウモリの面白さや重要性について語り続けている。






ブラッケン洞窟のコウモリと生態系を守るために、Bat Conservation Internationalが10月4日にランニングイベントを行います。コウモリのダイナミックなフライトのビデオで情報をチェックしてみてください。







2016/08/12

グリーン・テキサス② カメ探し

すこぶる美味のドイツソーセージのランチを楽しんでいる間に土砂降りの雨も止んだので、自然保護区に戻った。雨が止まなくてもカメ好きの同行者に引き戻されていたに違いないが。

豪雨のあと水かさが増した川


見づらいのですが、
そのとき現れたペインテッド・バンティン
川の水かさがかなり増し、流れが急になっている。お目当てのマップ・タートルは下流に流されてしまったかも。。

ひとまず岸近くの遊歩道に降りると、美しいさえずりが聞こえてきた。艶やかな色をしたペインテッド・バンティンだ。バンティンは比較的高いところにとまってさえずる。オレンジのお腹とブルーの羽という美しい体色のおかげもあって見つけやすい。

カメ好きの同行者は、カメを探してずんずん川沿いの薮の中をかき分けて進んでいく。わたしは整備された遊歩道の上を歩きたかったが、言い出す前にクツはびしょ濡れでドロドロだ。ああ、もう仕方ない。

川の中にカメは見つからない。カメ専門家がすすめてくれたカメ観察ロケーションだ。ぜったいいるはずなのに、見つけられないのは豪雨のせいだろうか。

「いたぞ!」と大きな声。30センチ弱くらいの大きなカメが草むらを歩いている。雨上がりに草むらに産卵に来たメスのカメではないか、との推測。このカメがマップタートルかどうかを専門家に聞くために、写真を送信する。裏返すとお腹は少しオレンジ色だった。

雨上がりに草むらを歩いていたところを見つかったカメ

ファッションモデル並みにかなりの数の写真を撮られたあと、カメは水の中に帰っていった。その川のなかに目を向けると、なんとたくさんのカメたちが首を水面に出してぷかぷか漂うように泳いでいる。すごい数だ。やはりカメはこの川にいたのだ。しかしまだ彼らがマップタートルかどうかわからない。

「野うさぎがいるよ」。川辺にすんでいるらしいウサギをわたしが探している間に、いつのまにかずっと先をあるいていたカメ好きは、電光石火で川岸に浮かんでいた子ガメを捕まえた。さっきのカメと同種なのだろうか。甲羅がまだ小さいためか少し違うようにも見える。いくつかの種のカメはとてもよく似ていて、素人には見分けがつかない。また専門家に写真を送る。この子ガメも写真とビデオのためにしばらくポージングをさせられた。


つぎに水の中に入れて観察しようと、近くにあったゴミ箱から紙コップを拾い川の水を入れてきてカメを入れてやる。プカプカと手足を動かす様子が可愛い。




さっき写真を送ったカメ専門家からメールが来た。テキサス・リバー・クーターというヌマガメの仲間らしい。テキサス州の川や湖に生息しているカメだ。残念ながらマップ・タートルではなかったが、新しい種のカメを見ることができて大満足の嵐の日。

川岸で目を出しているカエル。見つけられますか?

地面にあがったカエル


2016/05/23

グリーン・テキサス① 豪雨

近頃、テキサスに投資が集まって、ずいぶんと景気がよいそうだ。あちこちでオフィスビルも作られているとか。それまでわたしの持っていたテキサスのイメージと言えば、西部劇やバーボンの本場ということくらい。そんなテキサスを訪れる機会がやってきた。自然保護NGOとのミーティング。そのあとでいくつかの自然保護区を訪問することに。

テキサスの観光地。アメリカの歴史を学ぶ上で重要な場所。



高層ビルから見る雨の様子。
ここから見る雷は迫力あり。
まず訪問したのは、自然保護NGOのオフィス。1階にスターバックスが入っている高層ビルの高層階。大きなガラスの窓から、テキサスのオフィス街中心部が一望できる。辺りには建設中のビルがいくつも。「すぐそばの橋の下に、コウモリの大群がすんでいるんだ。夕方、一斉にエサをとりに飛び立つ様子は必見だよ。毎日、大勢が見物に来ているよ」と、生物学者のスタッフが大きな窓から大通りを指差した。

夕立

立ち上がって窓に近づいたときだった。突如、橋の方向に閃光が走った。気がつくと橋の方角には黒く厚い雲が広がり辺りが暗くなっていた。大きな雷鳴とともに、大きな音をたてて激しい雨が降り始める。先週までしばらく雨の降らない日が続いていたが、この数日はめまぐるしく天気が変化しているという。気候変動の影響なのか、近頃は、いままでどおり雨の時期がやってこないし、突然豪雨になるし、とにかく天気が荒々しくなっているようだ。そういえば、ワシントンからのフライトでも、先に出た便がかなり揺れたとアナウンスされていたなあ。

洪水警告音を聞きながら自然保護区へ

テキサスの有名人といえば、ブッシュ元大統領。目指す自然保護区に向かう途中、彼の農場がある辺りを通り過ぎる。初夏。道路の両側にはワイナリーや農場が広がり、緑が濃い。小川も多い。まったく映画の西部劇の景色とは違う自然豊かな土地だ。


テキサスには丘が多い。
道路の両側には濃い緑が広がるが空はどんよりムード。


宿泊先を出発する前に、スマートフォンが大きな警告音を鳴らし始めた。「Flood Warning」洪水警告だ。「低い場所から直ちに退避!」と表示。最近のスマートフォンの機能は頼もしい。ドライブの途中でまたも警告音。何度か川の近くを通り過ぎたが、そのたびに不安になる。この時期、洪水で被害者が多く出ており、前日も死者と行方不明者がでていた。

自然保護区に到着する頃には、空は黒い雲で覆われ、ときどき稲光が走り、わたしたちのスマートフォンは、警告を鳴らし続ける状態が続いていた。雨が降り始める。公園事務所に着いた頃には土砂降りに。公園で生き物探しのまえに、まずはランチをしながら雨のあがるのを待つことにした。お目当てのマップ・タートルに会いにいくぞ!

到着したときには乾いた通路。豪雨の後は急流に変身。

テキサスにはドイツ移民が開拓した村がある。ドイツレストランでランチ。
カレーソースのソーセージ。美味♡

ランチの間に雨があがった。よし、公園に戻ろう!


2016/01/21

鉛入りの水道水で髪が抜ける?!取り返しがつかなくなったミシガン州の恐ろしい水道汚染。

何気なく飲んでいる水道水。もし危険物質が混入していたら。。
日常の生活からなくなると困るもので、真っ先に思い浮かぶもののひとつは、おそらく水でしょう。いま、アメリカのミシガン州では、水道水を飲めないという大問題が起きています。


アメリカ・ミシガン州の水道水汚染が深刻化

ミシガン州のフリント市では、去年から水道水を飲んだ人が体調不良を訴えていたそうですが、今年1月になって、水道水が鉛に汚染されていたことが大きく報道され、16日には、オバマ大統領が非常事態宣言を発表し、全米規模の問題となっています。市民にはボトルに入った水が支給されているそうです。



飲み水だけでなく、体を洗うシャワーの水も、家庭菜園に撒く水も汚染されているなんて。鉛に汚染された水道水によって、髪が抜け落ちてしまう恐れすらあるそうです。
(BBCニュース http://www.bbc.com/news/world-us-canada-35350275 )


住民の健康被害の発端は、財政危機

ミシガン州は、二年ほど前まで、フーロン湖の水を使うためにデトロイト市にお金を払っていました。しかし、財政的な危機に対応するためこのお金を節約しようと、五大湖から自前の水道管を敷くことにし、その工事の間だけフリント川から取水することにしました。ところが、新たな水の供給が開始された直後から、水が茶色っぽい、イヤな臭いがすると住民からの苦情が出て来ました。

フリント川の水には腐食性物質が多く含まれていたのですが、適切に処理されなかったために水道水に混入してしまったのです。フリント市の水道管の多くは鉛を使用していたため、この水によって水道管が腐食して鉛が水に溶け出し、住民の健康被害を引き起こしてしまったと調査官は考えています。

腐食を始めた水道管はもう交換するしか方法がないそうです。しかし、財政危機のフリント市にはその予算がありません。命に直結する水の問題。住民は一刻も早く解決を望んでいるのに。。

(CNNニュース:http://www.cnn.com/2016/01/05/health/flint-michigan-water-investigation/


クリントン氏もフリント市問題を指摘。全米規模の問題に

折しも大統領選が盛り上がっている最中。民主党のヒラリー・クリントン氏は、1月17日の民主党大統領候補のディベートで、このミシガン州の問題を指摘し、共和党の州知事を糾弾しました。いまのところ、スナイダー州知事は、辞任を否定して、この問題に取り組むことを表明しています。

人の生活に欠かせない水。ジャングルや砂漠にいるとき、フィールドで川の水を生活に使うときや遠い井戸まで水を汲みいくとき、水道水のありがたみを実感しますが、その水道水が汚染されているなんて。


もし、川が健康であったなら・・

もし、フリント川が健全に維持されていて腐食物質が流れ込んでいなければ、この問題は起きていなかったはずです。川の水を野生の鳥や動物たちが使えていたかもしれません。きれいな川があれば、住民のレクリエーションの場としても利用されていたはずです。都市に生活しているときにも、人は自然の一部であることを忘れないようにしなければ・・。








2015/11/23

サボテン絶滅の危機が高まっています

ほとんど雨の降らない乾燥地で生きていけるサボテンたち。かなりタフに見えますが、実は、3割近くのサボテンの種が絶滅の危機に直面しているそうです。

サボテンは動物たちに食料と水を提供し、
動物たちはサボテンの花粉を媒介して実をつけるのを助けています。


今年10月に、サボテンの種の世界的な評価の結果が発表されました。このような世界的な総合評価が行われたのは初めてとのこと。実は、ホ乳類や鳥類よりも危機の度合いが高いことが判明したのです。

危機の原因は、生きているサボテンやタネの違法な取引によるものです。その他に、放牧や農業も脅威になっています。


サボテンは乾燥地の生き物たちの命を支えています。


サボテンは、南北アメリカ大陸の乾燥地にすむ多くの生き物にとって、食料や水分を得るために不可欠の存在なのです。野生のシカ、ウサギ、ネズミ、コヨーテ、七面鳥、トカゲ、カメなど多くの種がサボテンを頼りに生きています。また、人間が利用しているサボテンは、なんと1480種もあります。


1975年以降、ほとんどのサボテン種がワシントン条約付属書に掲載されましたが、コレクターによる違法取引の脅威は続いています。

サボテンの危機に関するIUCNの報告書

2015/08/17

ワシントンD.C. ③ 野生の生き物は手入れされた芝生にやってくる

ワシントン周辺の家々は、たいてい木々に囲まれ、芝生があります。この芝生、きれいなのですが、メンテナンスが大変。特に夏の前後は草の勢いがあるので、しばらく刈らないと大変なことになります。ほとんどの家はきれいにしているので、自分の家だけ草が生い放題というわけにはいきません。旅行で二週間家を空ける、となると、旅の直前・直後は芝刈りに追われます。

面白いことに、野生の生き物は、手を入れていない庭よりも、芝刈り直後の庭に現れます。あまり気の進まない芝刈りも、動物たちに会えると思うと、頑張ろうという気にさせられます。

芝刈りのときに見つけたハコガメ。

初夏には、芝刈り直後に、カメたちが池からあがって産卵していました。春の朝は、カナダ雁たちの親子。刈った直後に生えてくる柔らかい葉っぱを狙ってきたようです。カナダ雁たちは、同じように柔らかい新芽を目当てにやってきて、庭に巨大なフンを落として帰っていきます。

最近の芝刈りの翌日は、ロビンが飛び交っていました。草丈が短くなると地上の虫を捕まえやすくなるようです。

芝刈り後にやってきたシカの一家。
シカたちも歩きやすくなったのか、芝を刈るとよくやってきます。


野生の生き物たちは、人間の暮らしぶりを把握して、うまく利用しているみたいです。

2015/08/14

ワシントンD.C.② 自然に囲まれたアメリカの首都ワシントンD.C.。

ワシントンD.C.俯瞰


アメリカの首都ワシントンD.C.の空の玄関、ダレス国際空港に飛行機で訪れるときは、いつも上空からの景色が楽しみ。太平洋側からアプローチするときは、ブルーリッジ山脈を超えると機体が降下を始めて地上が見やすくなってきます。ワシントンの周辺は緑に彩られています。特に春先はきれいですが、秋も森や牧草地が紅葉してきれいです。冬は一帯が白く雪で覆われていることが多く、クリスマスのシーズンに上空から見える樅の木の飾りを見るのが楽しいです。



ポトマック川沿いの桜は、
ワシントンD.C.の名物。
ヨーロッパやNYからのフライトで大西洋側からアプローチするときは、チェサピークベイ周辺の緑とポトマック川周辺の自然公園がきれいです。ポトマック川沿いは、春になると日本から贈られた桜がきれいに咲き誇り、ジャパン・フェスティバルが開かれます。市民の飲料水としても、憩いの場ウォーターフロントとしても重要な川です。

街中から、カヌーやヨット、釣りなどで楽しむ人たちを観ることができ、朝夕には川沿いでジョギングする人もたくさん。流行に敏感な人たちが買い物やショッピングに訪れ、若者や観光客にも人気のジョージタウンや、18〜19世紀の建物がステキなアレキサンドリアがポトマック川沿いに位置しています。

ワシントンD.C.には、政治や経済などの拠点や、ブティックやレストランなど観光拠点はまとまった地域に集中しているので、徒歩とメトロの組み合わせで、かなり行動できます。D.C.に二つある空港のうち、レーガン空港へは市街地からメトロで行けますが、ダレス空港へは、タクシーが主な手段になり、バジェットトラベラー(貧乏旅行者)にはちょっと痛い出費です。メトロをダレスまで延ばす計画は相当前からあったそうですが、最近、近くの街レストンまでようやく開通しました。

ワシントン・レーガン・ナショナル空港。市内からのアクセスが便利。
周囲は緑地帯で、ピクニックする人も多く、夏にはホタルが飛び交います。

野生の生き物と出会えるDC


市街地には街路樹が多く、風情のある建物の前には手入れの行き届いた花壇が設けられています。木々の間にはリスの姿が。わたしは初めて見たときは、その都度追いかけて写真を撮っていたのですが、リスはあちこちにいることがわかり、いつの間にか、いるのがふつうという存在になってます。茶色と灰色リスが主なのですが、ときどき、チップモンクという小さなリスに出会えることもあります。リスはよくクルマにひかれているのですが、わたしの友人によると、チップモンクは「Too cute to be killed by car」(ひき殺されるには可愛すぎる!)のだそうです。

きれいな青い色のブルーバード。春先によく現れます。

野鳥のさえずりもあちこちから聞こえます。オフィス街にも樹木が多いせいか、小鳥がたくさんいます。これらの小鳥を狙うワシが高い木の上にいます。スミソニアン博物館やナショナル・ジオグラフィックなどメジャーな観光拠点でも、野鳥やリスに会える確率はほぼ100パーセントです。






時間があれば、ぜひ郊外へ


中心部から少し外れると、公共交通はいきなり不便になり、アメリカが車社会であることを実感します。でも、中心地から少しドライブすれば、自然が豊かなワシントンの別の顔を見ることができます。少し足を伸ばして、中心地から10分近く車で走れば、かなり緑の濃いエリアに行くことができます。野生動物は身近な存在です。数頭のシカがクルマの前を横切るのは日常です。つい先日は、高速道路脇でウサギの親子を見かけました。

ただ、悲しいことに、高速道路で、カメ、リス、シカ、ラクーンなどが車に轢かれているのをよく見かけます。午後の暑い時間には、道路で死んだ動物を探すバウチャーが上空で旋回しています。

よく現れるのは、シカです。道路脇に数頭の群れでいることが多く、ときにはクルマの前を横切るので注意。目撃する頻度は少ないけど、罠にひっかかるのはいたずらラクーン。ラクーンはゴミをあさる他、空調や屋根裏に入り込んでくるのですが、家の中で死なれるとものすごいにおいでお掃除がとっても大変になるので、有り難くないビジターです。罠には残り物のジャムやピーナッツバターを使うのですが、簡単に捕まるんです。捕まえたラクーンは、指定の場所に放します。

物置小屋の下で3匹の子どもを育てたキツネ。

裏庭に現れたウッドチャック。ジャンプが上手。


キツネやウッドチャックが裏庭に現れ、野うさぎも見かけます。たまにアルビノの個体が見つかることがあります。白っぽい斑の割合が多いシカも年によってはたくさん見ることができます。三年前には、真っ白なリスが庭にやってきました。とても可愛かったです。

春に突然現れた白いリス。

白い部分がかなり多いシカも現れました。


鳥好きのパラダイス


郊外の家では、朝、鳥たちのさえずりで目が覚め、まるで物語のなかで暮らしているようです。冬から春にかけては、カナダ雁や鴨たちの群れが渡ってきて、大きな声を聞くことができます。カナダ雁はとても大きく、見応えのある鳥です。



イースタン・フィービー

春には、ブルーバードやジェイ、イースタンフィービー、赤いきれいなカーディナルなどがやってきます。わたしはまだ見たことがないのですが、ハチドリの生息地です。ブルーバードは青い羽がとてもかわいらしく、まさに幸せを呼ぶ鳥って感じです。
黄色い系では、キングバードやキングレットなど。今年は、ハウス・レンが、バーベキューコンロの中でヒナを育てていました。

どこにでもいるのがヨーロッパ・スターリン。去年は、家の壁でひなを孵し、朝夕うるさくてよく眠れませんでした。あまりに大きな物音を立てていたので、正体が分かるまでは、ラクーンかネズミが入り込んだのではないかと思っていました。

スターリンが棲むきっかけを作ったのが、キツツキたち。この地域には、少なくとも3種類がいます。


秋にワックスリングの群れが通り過ぎるとき、木に一群が留まってさえずるいっときは、素晴らしいものです。彼らはそのまま通り過ぎることが多いため、出会いはとても貴重。秋から冬にかけては、アオサギやアマサギなどの水鳥がよく見られます。

大きな池にはカメたちが日向ぼっこ。

自然に触れ合う暮らし方


ワシントンの人たちは、バーベキューが大好き。ベランダや庭にバーベキューセットを置いていて、休日には大抵お父さんがリードして家族や友人でバーベキューパーティーを楽しんでいるようです。

春先には、スプリング・パイパーという小さなカエルが一斉に小さな鈴の音のような声を聞かせてくれます。その後には、別のカエルが鳴き始め、季節はだんだん夏に近づきます。

春に一面の花が咲く大好きな公園。

日本の高山植物に似た花が多く咲きます。


夏には、ホタルがたくさん見られます。初夏、ふっと今日から本格的な夏だ、と思わせる雨が降るのですが、そういう日の夕方、雨がやんだ後、ホタルが光り始めるのです。独立記念日の花火の日に、ホタルがたくさん飛び交うのを見るのはとても趣き深いものでした。ただ、アメリカの友人たちには、ありふれた生き物らしく、わたしが「ホタルだ!」と興奮する様子を不思議そうにみています。

暑い日には、ヘビと出会いやすくなります。毒ヘビもいるので、野山を歩くときは要注意です。





2015/07/20

「ジュラシック・ワールド」堪能!ところで、恐竜ってホントはどんな声だったの?

6月半ば過ぎに「ジュラシック・ワールド」がアメリカで封切られました!最新CGを駆使した映像がすごい!恐竜たちのデザインもすごく考察されてるし。アメリカ映画常套のカッコいいヒーローに、勇敢で優秀ながらやや天然のヒロイン、子どもたちの活躍。ジョークもたっぷりで楽しめました。

恐竜をイメージさせるクロコダイル。声を使ってコミュニケーションするそうです。

ところで、TVや映画で出てくる恐竜たちの声が、ずっと気になっていました。まるでゴジラのような鳴き声を上げて獲物を襲うからです。ちょっと金属っぽいような、ライオンのようなうなり声や雄叫び。特に大型の肉食竜だと、身体の大きさに合うような大きな声で「ガオーーー!」。あの声に違和感を感じてました。


爬虫類の鳴き声


この違和感は、恐竜と見た目が似ているワニやトカゲたちが吠えるような大声を出すのを聞いたことがないからかも。大声で鳴く爬虫類・・・。そういえば、インドネシアなどに棲む”トッケー”というヤモリが「トッケー、トッケー」と鳴きますが、この声はちょっとコミカルでかわいらしいし。

プレデター(捕食者)は、音を立てずに獲物に忍び寄るのがふつう。可愛いネコたちも、小動物を捕まえる時は、獲物を追うハンターの顔に変身し、声を出しません。なので、肉食の恐竜たちが、獲物を追うときにゴジラ風の雄叫びをして走っている光景は、どうも想像しがたくて。

ワニやトカゲは、怒った時や助けを呼ぶとき、仲間とのコミュニケーションや繁殖のときには、声を出してコミュニケーションするそうです。わたしの友人が飼っているカメたちは、メイティングの時はよく大きな鳴き声を上げます。初めて聞いた時はカメは静かな生き物だと思っていたので、びっくりしました。


色鮮やかな体色のカメレオン。恐竜も色んな体色を持っていたのかな。


恐竜も大きな声を持っていたかもしれません。でも、「ガオオオオッ!」とかでなくて、小さく可愛い声で「キューン」とか鳴いていた可能性だって捨てきれない。ティラノサウルスが「ニャア」とか鳴いていたら、いいなあ。一方、おとなしいイメージで描かれることの多い草食竜たちの方が、追われた時の反撃方法として大声を出していた可能性だってあるはず。


恐竜の子孫・鳥類の鳴き声


恐竜の生き残りが進化したものが鳥類だといわれていますが、鳥たちも、大きな声で鳴くものの、獲物を追うときには雄叫ばないように思います。しかも昨年サイエンス誌に掲載された論文によると、鳥やホ乳類の声の出し方は、恐竜の絶滅後に飛躍的に発達したそうです。恐竜の時代は、声のヴァリエーションは限られていたとも考えられそうです。うーん。どうだったのでしょう。いつか研究が進んで、恐竜の本当の声がわかるときが来る日も近かったりして。

鳥たちの鳴き声は、実にさまざま。鳥のようにさえずりができる恐竜がいたりしたら面白いな。


でも、状況に応じて大声で吠える迫力ある恐竜は、わたしたちのエンターテイメントの世界に確かにいます。彼らのおかげで、映画が100倍楽しく観られることに感謝!Go ジェラシック・ワールド!



2015/07/05

コーヒーやチョコレートにも大きな影響。世界中で深刻化する干ばつと天候不順

ブラジルの干ばつ


昨年、世界最大のコーヒー生産地ブラジルでの深刻な干ばつによって、コーヒー生産量が減少し、コーヒー豆の国際市場価格が急騰しました。ここ数年、天候不順による農作物への影響が問題になっていましたが、昨年は、干ばつで収穫量に影響があったのに加え、収穫時期にはエルニーニョによって降雨があり、豆の乾燥工程に影響したそうです。

ブラジルのサンパウロでは、昨年大規模な森林火災が頻発。降雨量が減り乾燥した草木は燃え上がるのが早く、なかなか鎮火できなかったようです。ブラジルでは、農地開発などによって森林の面積が減少し続けています。


ブラジルのセハードを空から。もとの自然はあまり残っていない。放牧地や大豆畑が多い。

ガーナでカカオ生産低迷


チョコレートの原料であるカカオの生産地ガーナでは小雨が続いており、昨年のカカオ豆収穫量90万トンに対して、今年の収穫量の見込みは、約70万トンと大幅に減少すると見込まれています。昨年西アフリカを襲ったエボラ出血熱は、カカオ生産地のガーナやコートジボアールなどには広がらなかったものの、国際市場価格上昇に影響し、ハーシーなど世界の大チョコレートメーカーが小売価格を8パーセントも値上げしたそうです。今年は生産の減少によって、さらなる価格高騰が懸念されています。

おいしいチョコレートは、なぜか
カカオ生産地ではない国からやってきます。
今年は、天候条件に加え、カカオの木を守るための農薬などの使用時期が遅れたことも、生産不調に影響しているようです。

2011年以降、カカオ価格が2年間にわたり低迷したことによって小規模農家の収入が減り、政府から支給される苗木や農薬購入のための補助金を農家が使いたがらず、農薬や木を守るための菌を買う時期が遅くなったことが影響しているとガーナ・ココア・コーヒー・シア農家協会は分析しています。(ウォールストリートジャーナル記事参照)

円安が続いているため、日本では輸入品であるコーヒーもチョコレートも値上がりしていますが、中国などで急速に需要が増加していることに加え、生産地の気候不良によって生産量が減ってしまえば、さらに値段が上がる可能性があります。

農作物生産には、安定した気温と降水が必要です。発芽、苗の成長、開花、結実、収穫というそれぞれの生育の段階に適切なタイミングでの環境の条件が重要なのです。そして、生産者の生活や生産国の状況などの社会的条件、選ぶ人の目利き、取引における国際的な安定、商品を生み出す技術など、私たちのところに届くまでには、実に多くの要素が絡んでいるのです。

気候変動の影響はますます深刻に


カリフォルニアでもここ四年にわたり深刻な乾燥状況が続いていて、農業や生活用水の不足や大規模な森林火災が問題になっています。

カリフォルニアの乾いた大地に植えられた農作物。
畑には灌漑のホースが張り巡らされている。

アメリカの食を支えるカリフォルニアの干ばつ


カリフォルニアは、アメリカ農作物の大生産地。高速道路を走ると、トマトやオレンジを積んだトラックとすれ違います。乾燥した大地の中で、アーモンドやトマトなどの青々とした農地は不思議な光景に見えるのですが、畑にはくみ上げた地下水を供給するホースが引かれているのです。多量の水が使われるため、長い時間をかけて蓄えられた地下水は、かなり減ってしまっているそうです。この地下水や川からくみ上げる水は、シエラ山脈に降る雪をもとにしていますが、近年、積雪量が減少し、さらに気温が高くなっているため、早い時期から解け出してしまっています。

家庭に例えると、父親の収入が減り(降雨減少)母親も働きに出た(地下水汲み上げで枯渇)のに、子どもにかかる教育費がどんどん増え(農地拡大)、生活費全般も値上がり(森林火災の増加)して、父親に定年が迫っている(森林面積の減少、気候変動)−というような状況。

カリフォルニアワインも収穫が減ると見込まれています。ただ、昨年の収穫は、少ない降水量のため、味が良くなっていると分析されています。


2015/06/17

ワシントンD.C.① 自然保護家たちの拠点

ここ数年、わたしはワシントンD.C.に滞在することが多くなっています。DCは、District of Columbia「コロンビア特別区」の略。D.C.やワシントンとも呼ばれます。

アメリカの首都D.C.には、ホワイトハウスや連邦議会を始め、世界銀行やIMFなどの本部を含む多くの機関が集まり、まさに世界の中心のひとつといえるでしょう。映画や本でも「ワシントンに報告した」とか「ワシントンはこう言っている」とか、大統領や政府高官、決定権を持つ人たちを表す言葉として頻繁に登場するので、多くの人にとって聞き慣れた地名だと思います。

デュポンサークルから北西へ向かうと、ずらっと大使館が並ぶ通り。
アメリカの首都の貫禄。

ワシントンD.C.は自然保護にとっても重要な場所


D.C.は、政治だけでなく、自然保護の本拠地でもあります。世界の動きに影響を持つアメリカ議会と政府があり、主に途上国での自然保護活動に多大な影響を及ぼす資金を管理する世界銀行、自然保護資金を拠出するGEF(地球環境ファシリティ)やCEPF(クリティカルエコシステムパートナーシップ基金)が本部を持っています。また、現場の保全に携わるWWF-US(世界自然保護基金アメリカ)、CI(コンサベーション・インターナショナル)の本部があり、さらにIUCN(国際自然保護連合)やTNC(ネーチャー・コンサーバンシー)、その他にも多くの自然保護NGOの拠点が拡大D.C.の範囲に集合しています。さらにスミソニアンを始めとするアカデミックな面でも、先進的です。

ステキなWWFのオフィス。わたしの友人も以前ここで勤務していたそうです。


ここに拠点を持つ利点は、情報、機会、人的ネットワークなど数多く、大きな事業や新しい多面的な事業も生まれやすい環境になっています。アメリカでは、転職はキャリアアップとしてとらえられることが多く、獲得した知識や能力、経験、人間関係を活かして、よりやりがいのある仕事を続けていくものです。D.C.の地域内で、自然保護や社会支援の仕事をいくつか転職する人たちも少なくありません。

「国際的」が当たり前の多様な社会


D.C.の仕事は世界につながっているものが多いためか、「国内(米)」「国際」を意識して仕事を選ぶ感覚はないようです。それは、職場や日常など、日々の生活そのもので多様な人々と常に接しているからだと思います。

ワシントンD.C.中心部。


アメリカは他の多くの国からやってきた人々の子孫や本人が移住してきた人たちが集まっている国です。人種も実に多様です。大まかには、ブラック・アメリカン、ネイティブアメリカン、ユダヤ系、ラテン系、アイルランド系、ロシア系、東欧、イギリス、西ヨーロッパ大陸系、北欧系、中東、インド系、アフリカからの人々、ブラジル、中国系、韓国系など。難民も多く受け入れています。タクシーの運転手、スタバの店員、レストラン、スーパー、クリーニング屋さんの店員、などネイティブの英語スピーカーでない人たちと会話することも大変多いのです。

日本では、日本人が大多数の場所がほとんどで、無意識のうちに日本人の”常識”を備えていることを当然と思っている人が多く、「違う」ことはなかなか大変なことです。ところがアメリカでは、違っていることが前提で、話しが始まります。

「英語」という物差し


出身国が違えば基準もさまざま。そのためか、アメリカでは、多くの人の話す技術や能力が鍛えられているように感じます。そして、多様な人々をつなぐのに、重要な役割を果たしているのが、英語。「アメリカ人と同じ英語を話すね」ということは、なにかを一緒に始めるときに、距離感を縮めるスピードがぐんとアップするようなのです。それと、共通の文化的な話題。スポーツでも芸能でも、なにか共通の話題があると一気に親近感が生まれるみたい。

もちろん一歩進んだときに大事なのは、会話の中身です。英語に強いアクセントがあっても、実力と人柄と目的が、次の段階での距離を縮めます。ただ、英語の垣根をまず超えると、一気に話しがしやすくなるようです。


ワシントン記念塔。

次回は、意外にも自然に溢れるD.C.の魅力をご紹介します!


2015/02/16

フロリダ自然保護区を自転車散歩。希少なアナホリゴファーガメたち

アナホリゴファーガメ(Gopher Tortoise)は、その名のとおり、大きく深い穴を掘るカメで、温暖なフロリダを中心にアメリカ南東部に生息しています。

アナホリゴファーガメ。仲間を探しているのかな。

フロリダのとある鳥獣保護区を自転車で散策して、たくさんのアナホリゴファーガメを見つけました。道の両脇にはカメが丈夫な脚で掘った穴があり、ときどきそれらの穴からカメが歩き出してくるのです。

花やフルーツ、草などを食べるこのアナホリゴファーガメは、絶滅の危機にあり、フロリダ州の個体数は80万頭以下に減少しているとみられています。ワシントン条約の付属書Ⅱにも掲載されています。危機の最大の原因は住宅地や商業地の開発に寄る生息地の減少で、交通事故、病気なども影響しています。


毒ヘビもお散歩中。

道の脇の小川のなかには、ワニの子どもがプカプカ。

フロリダの住宅地には、野生の鳥たちがやってきます。