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2020/05/20

コンゴ民主共和国のマウンテンゴリラとレンジャーを救え!

レオナルド・ディカプリオ氏の環境保護支援に参加を!
マウンテンゴリラとレンジャーを救うための世界のミッション「ヴィルンガ基金」


新型コロナウイルス対策支援を開始したディカプリオ(Leonardo DiCaprio)氏たち、自然保護にもさらなる貢献


戦地・ヴィルンガ国立公園


「自然保護は戦争だ」ということをありのまま描いた衝撃的な自然保護ドギュメンタリー「VIRUNGA」(2014)がアカデミー賞候補にノミネートされたのは2015年のことでした。あれから5年。マウンテンゴリラの聖域ヴィルンガ(Virunga)は、何度も武装勢力に襲われ、多くのレンジャーや関係者を失いながらも、希少なマウンテンゴリラにどうしても会いたいと熱望する世界からの訪問者を受け入れてきました。




困難な状況下で、文字通り命がけでレンジャー達を指揮する公園長のエマニュエル氏は、人命やゴリラを失うたびに打ちのめされながらも、常に前を向いて、絶滅危惧種マウンテンゴリラの保護に力を注ぎ様々な場所で、世界の人々やリーダーたちに支援を訴え続けてきました。

ところが、いま、3つの極めてショッキングで大きな問題が立ちはだかっています。

武装勢力、新型コロナウイルス、エボラ出血熱に立ち向かうヴィルンガ国立公園


2020年3月はじめ、エマニュエル氏に届いたのは、エボラ出血熱が再流行を始めたらしいという知らせでした。エボラ出血熱は致死性の高い伝染病で、地元コミュニティに大きな負の影響をもたらし、世界からの旅行者を減らします。翌日、レンジャーが一人武装勢力に撃たれなくなったという知らせが入りました。

さらに、世界規模で、新型コロナウイルスが大流行を始めたのです。すでに昨年末から中国での大規模な流行があり死者が出ていましたが、今年の2月までは、それ以外の地域の人々はそれほど深刻に捉えていなかったように思います。ところが、3月に入ると、突然、カリフォルニア、ついでニューヨーク、大西洋の反対側のヨーロッパ、と、感染者が日を追うごとに激増し、重病者と死者数も見る間に信じられない数に。短期間のうちに、ほぼ世界のいたるとこで人々の命と健康が危険にさらされ、ツーリズムは打ちのめされました。4月に入ってもこのCOVID-19は猛威を振るっています。

ウイルスが国立公園周辺に入れば、高度で十分な医療体制のないアフリカのリモートエリアでは、致命的な被害がもたらされるでしょう。

また、ゴリラなど霊長類に感染する危険もあります。当面の間、訪問者がもたらす収入で国立公園を運営し、ゴリラと自然を守ることができなくなってしまいました。

その最中、酷く痛ましい来事が起きました。

4月24日、朝11時。公園事務所へ帰る途中だったレンジャーたちを武装勢力が攻撃しました。12人のレンジャーとドライバーの13人が殺されたのです。20代と30代のレンジャー。彼らの家族や友人、仕事仲間、そして世界の保全関係者の悲しみの大きさは言い尽くせません。


「ヴィルンガ基金」レオナルド・ディカプリオ氏、EU、エマーソンが支援を開始




ヴィルンガ基金への支援はこちらから。
https://www.globalwildlife.org/virunga-fund/

アマゾン森林火災にもいち早く支援を打ち出したディカプリオ氏、アース・アライアンスの一員であるEmerson Collective(故スティーブ・ジョブズ夫人、ロレーン・ジョブズ氏の財団)、ヨーロッパ委員会(EU)、が協力し、200万ドルをまずシード基金(最初の元になる資金)として支援します。EUもEmerson Collectiveも、COVID-19対応に多くの資金を支援し、応援している中での、迅速な取り組みの決定です。あまりにも多くのレンジャーを失ったヴィルンガ国立公園の運営、家族を失い困窮に直面しているなくなったレンジャーの家族の支援、病気の伝染防止など、地域での必須の活動に役立てられます。

私たちも、自分で可能な範囲の金額の支援で参加できます。資金はすべてヴィルンガ国立公園保全のために使われます。


地元スタッフ養成の重要性


現在、私たちが直面しているようなパンデミックの状況下では、国際的な支援を国際スタッフが現地に届けることは大変困難です。現地でのオペレーション、資金の運用、報告など、あらゆる面において、地元のスタッフ、研究者の育成がますます重要になってきます。将来的に保全のキャパシティやオーナーシップを強化するためにも、ローカル・スタッフの育成と国際社会との連携をどのように構築していくかは、コロナ大流行下で強調されてきた課題といえるでしょう。

そして、すぐに対応出来る柔軟で迅速な体制が必須。新型コロナを楽観視してきちんとした情報と理解に基づいた判断ができず、対応がもたもたしている国では、被害が甚大になっています。命を守る仕事である自然保護も同じです。

日本の人々にとっても他の世界の話ではありません。コロナ禍で図らずも多くの人が理解したように、世界のどこかで起きている問題は、いつか私たちの足元にやってくるのです。以前とは比べものにならないスピードで。


GWC(Global Wildlife Conservation)のプレスリリース(英語)はこちら



2015/04/23

不思議の国マダガスカルについて話します。なにから始めたらよいか迷うくらいトピックがたくさん。

キーワード。
白い指に輝く赤いルビー。
アロマとコクの豊かなチョコレート。
アイスクリームに香るバニラ。
エステサロンで最近使われ始めたバオバブのオイル。 

これらからどの国を思い浮かべますか? 

マダガスカルの定番おみやげのチョコレート。包み紙に国土がデザインされています。


その国は、アフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶマダガスカルです。 日本から遠いこの島は、わたしたちに魅力的なものをたくさん届けてくれています。

10年以上も前、マダガスカル大使館の方たちとお会いした機会に、この国の美しいルビーの話しを聞いたときには、まさか日本から遠く離れたこの国に何度も行くことになるとは思いませんでした。



マダガスカルの首都タナの建物はかわいい色使い。


 TVが伝えてくれるマダガスカルの情報は、キツネザルやカメやカメレオンなど生き物や、バオバブの並木や石灰岩の奇妙な地形など、なんども繰り返して見る自然のことばかり。ほかにもたくさんのことが、知られるのを待っています。

アンモナイトや巨鳥の卵の化石、近海で気が遠くなるような時間を生き延びてきたシーラカンス。 

日本以上にお米を食べる国。高い貧困度と人口増加率、マラリアの脅威、数年にもわたって国際社会から相手にされなかった前政権。整備の安全性への懸念からシャルルドゴール空港への乗り入れを禁止されたナショナルフラッグ。脅威を増すサイクロンと増える被害。

そして、重要な観光業。サンゴ礁がきれいな海にはヨーロッパの人が多く訪れていますが、日本の旅行会社が組み立てるツアーでは、たいてい横跳びシファカのいる南部のベレンティと西側の星の王子様バオバブ街道くらいです。ただ、最近では、日本からウナギやタコなどの海洋資源への関心が寄せられ始めています。 

日本を訪れたマダガスカルの友人は「老人が多くて驚いたよ」と。
マダガスカルでは子どもの数が多い。言い換えれば将来があるということ。


なんてたくさんの要素。近々、環境に関心のある人たちの集まるお茶会で、マダガスカルのことを話す予定なのですが、さて、いったい、どこから始めたらいいかな。

日本人観光客に人気のバオバブ街道の近くの道路事情はとても悪い。
大きく割れたアスファルト舗装に驚いたひとも多いのでは。インフラ整備は大きな課題。


2015/04/14

スマトラ島ウェイ・カンバス国立公園で考えるエコツーリズム③ 不思議なサル、スローロリス

ウェイ・カンバス国立公園の周辺には、スローロリスという不思議な生き物がすんでいます。スローロリスは、樹液や花の蜜や果実を食べる夜行性の小型霊長類です。

スマトラ島南部にすむ野生のスローロリス。©Russ Mittermeier


スローロリスを探してナイトウォーク


エコロッジで紹介していただいた専門のガイドの方について、ナイトウォークに出かけました。辺りは国立公園からほど近い小さな農村で、キャッサバなどの畑や、小さな林が点在しています。

スローロリスは木の上にいるので、上を見ながら歩きます。でも。ずっと上を見上げて歩いていたら、首が痛くなってきました。そのとき、「あっ!」と声が。ガイドの方がライトを照らす先、高い木の葉の間に、黒い小さなシルエット。二つの目がライトを反射しています。体長はだいたい30センチくらいでしょうか。背中に黒い帯の模様があります。

スローロリスの背中。黒っぽいラインが特長。©Russ Mittermeier

かれらは、スローロリスというその名に似合わず、動きが素早いようです。あまり長い時間ライトを当てるとかれらの目への負担が大きいので、すぐにライトを外すのですが、ちょっと目を離すと見失ってしまいます。

「こっち!」とガイドさんの声。今度は電線の上を走っています。小さくてふわふわした体つきがまるでぬいぐるみのようです。


スローロリスの危機


実は、その可愛さが問題なのです。スローロリス(この種はスンダロリス)は、インドネシア国内でも、ほかの国でも、ペットとして人気が高く、これまでにたくさんのスローロリスが捕まってしまいました。

スローロリスは夜行性なのですが、ペットのスローロリスは、昼間も人間にかまわれて眠ることができず、すぐに弱って死んでしまうと言います。

IUCNのレッドリストで絶滅危惧種に指定され、ワシントン条約でも保護されましたが、特に2000年以降は数が減る一方でした。レッドリストでもっとも危険度が高い(EN)にリストされ、2007年にはワシントン条約でもより厳格な付属書Ⅰに掲載され、国際取引が禁じられています。

スローロリス(Sunda loris)の生息地

スローロリスの生息地であるスマトラやマレー半島では、
アブラヤシ栽培などのため生息地が急減しています。
http://www.iucnredlist.org/details/summary/39759/0

スローロリスの数は、いまも減り続けています。一番の脅威はペット取引目的の違法狩猟。そして、生息地の破壊。スマトラの低地熱帯林は、猛烈な勢いで減少しています。


スローロリスを守る可能性-「迷信」とエコツーリズム


わたしたちが歩いた村では、たくさんのスローロリスを見ることができました。そんなに人目につきやすいなら、捕まりやすいのではないかとも思われるのですが、この村にはスローロリスを守る「迷信」がありました。

「スローロリスに触ると、家族に災いが起きる」というのです。そのため、彼らはスローロリスを見るだけ。見てカワイイと思うそうですが、決して捕まえようとは思わないそうです。

さらに、彼らは、ガイドが観光客を連れてくることを知っています。エコツアーから地元にベネフィットが落ちれば、観光資源であるスローロリスを守ろうとする動機付けが強くなります。外からやってくる違法なペット業者は、村人に見つかり追い出されるでしょう。

スマトラ南部の名産のひとつはドリアン!
大好きな人と絶対食べられない人にわかれます。。

エコツーリズムとかれらの「迷信」を組み合わせたら、保全のための一つの手段になるかもしれません。調査と保全手法デザインとその普及を組み合わせたプロジェクトを企画し、この近くのほかの地域に広げられないかと考えています。


スローロリスを探して歩いていたら、ヨタカにも出会えました。

2015/03/24

スマトラ島南端のウェイ・カンバス国立公園で考えるエコツーリズム②

バンダールランプン空港から南へ110キロ。ウェイ・カンバス国立公園のゲートで国立公園に入る許可証をもらいます。近くのエコロッジにチェックイン。このロッジで専門のガイドを頼んで、野生の生き物たちを見ることができます。

南国の花や植栽が美しいロッジ
Way Kambas 国立公園入り口

ロッジ近くのトレイルで見られた希少な生き物の記録

この地域には、とても希少なスマトラトラがすんでいます。案内してくださったレンジャーの方もこれまでに数回見かけたことがあるそうです。自然保護団体がカメラトラップ(夜間の動物の行動を赤外線で察知して自動で撮影するカメラ&ビデオ)を使用したり、足跡やフンなどの残された手がかりを収集して、生態を追っています。

カニクイザルやブタオザル、シアマン(フクロテナガザル)などの霊長類に出会う機会もありました。特に川縁ではたくさんのカニクイザルの群れに出会うことができました。

また、スマトラゾウもいます。ゾウを使った観光施設があり、国内や中国からの観光客が訪れているそうです。ゾウについては、地域が抱える問題もあるのですが、別の回に詳しく書きたいと思います。


カニクイザル。でも、カニよりも木の実の方が好きみたい。
ふと近くの木を見上げると、トカゲが。動きが敏捷。
黄色いくちばしが印象的なドラーバード

子犬くらいの小さいマメジカや、ヒヨケザル、シアマンなども、ふとした瞬間に現れます。川縁では、カニクイザル、ブタオザル、そしてサギをはじめたくさんの水鳥たちに出会うことができます。わたしが一番気に入ったのは、重量感のあるドラー・バードです。


緑がきれいなハチクイ(bee-eater)
夕方にはとくにたくさんのサルたちが川べりに現れます。
スマトラサイは大切に飼育されています。
世界的に注目されるサイの保護センター。
リサーチに加え、密猟者の取り締まりが行われています。

スマトラサイは、この地域では野生絶滅してしまい、現在は数頭の保護飼育が行われています。野生の個体が生息しているのは、ジャワ島のウジュンクロンだけになってしまい、極めて深刻な状況にあります。

エコツーリズムとは

エコツーリズムは、その地域の環境にできるだけ負荷をかけないで、自然を楽しむ観光です。希少な動植物をみることができるのが醍醐味ですが、そこに暮らす人々がいれば、生活を垣間見させてもらうのも旅の面白さでしょう。また、その訪問が、見た生き物たちにまつわるストーリーを調べたり、保護の取り組みに付いて学ぶきっかけになるのもよいと思います。

観光客の数が増えると自然への負荷が増えてしまうので、エコツーリズム業界も工夫すべきことが増えそうです。が、裏を返せば、「産業として新たな可能性がある」のではないでしょうか。

2015/01/07

オーストラリアの大自然・ブルーマウンテンへ

しばらく会議の話題が続いたので、街を出てフィールドへ!こういう会議のときのフィールドツアーには生き物や自然の専門家が参加していることが多くて楽しさ数倍なのですが、直前だったので、WPCで申し込めるフィールドツアーは残念ながらどれも満員。

そこで、シドニーから日帰りできるブルーマウンテンへ行くことにしました。レンタカーで片道2時間。お天気も最高!


ブルーマウンテンの展望台。左下に見えるのがスリーシスターズです。

おおお〜!と思わず声を上げてしまう雄大な景観。圧巻はスリーシスターズという大きな岩。伝説によると、三人の美しい姉妹が姿を変えたものだとか。姉妹は違う部族の兄弟たちと恋をします。姉妹の部族はこの恋を許さず、相手の兄弟は力づくで彼女たちを連れて行こうとして、戦が始まりました。部族の賢者は三人の姉妹を岩に変えることに。賢者は後で三人をもとの姿に戻すつもりだったのですが、戦で殺されてしまい、三人をもとの姿に戻す呪文を知る人は誰もいなくなってしまったのです。岩はいまもすらりとした美しい姿で立ち、背後には広い大地に森が広がっています。



キバタン
ビジターセンターは充実しているし、周辺のトレイルもやケーブルカーなども利用しやすくて便利です。少し歩くと、白い体に黄色いとさかがキュートなsulphur crested cckatoo(キバタン)がたくさん舞っていました。オーストラリアとニューギニアおよび周辺に生息しています。ペットとして飼われることも多く、都会では数が増えすぎて鳴き声などが問題にされているところもあるようです。なんと70歳以上も長生きするものもいるそうです。


コアラだよー

ブルーマウンテンまでの途中で寄ったFeatherdale Wildlife動物園では、コアラとのツーショット写真を撮ることができました。一人ずつ順番です。列に並んでいたのは、ほとんど大人たち。キラキラ目を輝かせてはしゃいでいます。そういえば、G20のため訪豪していたプーチン大統領も、コアラを抱いて写真撮影していました。

飼育員がエサでコアラを引きつけるのですが、しばらくすると疲れてしまうので(疲れさせないために)、次のコアラに交替です。数頭のコアラが交替で人間を楽しませてくれていました。

大抵の動物園では、動物やエサのにおいに気づくことが多いのですが、ここでは、アロマオイルにも使われるユーカリなどの葉の香りのおかげで、園の中全体が良い香りでした。



オーストラリアには、カンガルーやコアラなどの有袋類という独特な動物が暮らしています。この状況は、生き物の生存競争(北米などでは他の生き物に捕食され絶滅してしまった)と地球の地殻変動が合わさった結果なのだそうです。

ウォンバット。有袋類です。

ワラビーも有袋類です。





2014/11/01

ハワイ島③ 火山の島の不思議な鳥たち

ハワイ島の溶岩の台地の上に広がる森で、不思議な鳥たちに出会うことができました。


上下のくちばしの形が全く違う不思議な鳥、アキアポラウ(Akiapola‘au)
ハワイミツスイの一種で絶滅危惧種。


ハワイ島でバードウォッチング

マウナケアの南、サドルロードを車で走りました。この道は島の東側の街ヒロまで続いていて、山の周囲の丘陵に草原や岩の大地のダイナミックな光景が広がります。標高が高い場所では、道路が雲で覆われます。この道からアクセスできるマウナケアの麓の二カ所を鳥を探して歩きました。

その一つが、ハカラウ鳥獣保護区。標高が低い場所では、実に、東京の4倍以上も雨が降ります。一年に6350ミリ以上!(東京は年降雨量約1500ミリ。気象庁データ)沼や谷が点在し、シダが生い茂る原生の低山帯降雨林です。標高が高い場所は降雨量が少なく、放牧のために島の外から持ち込まれた牧草が中心になっています。

ハワイの森の鳥たちのうち6種が絶滅が危惧されていますが、ハカラウにはそのうち4種が棲んでいます。黄緑色の羽がきれいなアマキヒ('amakihi)は、よく見られます。昆虫や花の蜜を食べます。赤い色の鳥は、アパパネ('apapane )とイーウィ('I'iwi)。イーウィの鳴き声は、「イーウィ!イーウィ!」と言っているように聞こえます。


イーウィ(‘I‘iwi)。赤い体と曲がった黄色いくちばしが特長。

鳥とダーウィン

鳥のくちばしの形状には、食べ物が大きく影響しています。ガラパゴス諸島のさまざまな形のくちばしを持つフィンチから、ダーウィンは進化論を導いたそうです。自然選択によって、周囲の自然条件に適した種が生き残ったのです。

ハワイミツスイの一種のアキアポラウのくちばしは、上が大きく曲がり、下は短くまっすぐです。これは、木の枝をつついて樹皮の下にいる幼虫を取り出すためです。いくつかの樹皮にアキアポラウがつついた後が残っていました。ハカラウの周辺には、アキアポラウの食べる昆虫が好きな木を植える保護活動が行われています。



イーウィ(‘I‘iwi)の曲がったくちばしは、花の蜜を吸うのに適しています。和名はベニハワイミツスイ。赤い花の蜜を吸っているイーウィはとても美しいです。ハワイの観光資料などにもよく登場します。ハワイ諸島にたくさんいたイーウィは、蚊が媒介する病気によって数が激減してしまい、絶滅が心配されています。マウイ島とハワイ島で見ることができますが、ラナイ島では絶滅してしまい、モロカイ島とオアフ島にもほとんど生息していないそうです。

ハカラウフォレストには、29種の希少植物種が植生しています。そのうちロベリアなど12種が絶滅危惧種です。


ロベリア


ヒトだって絶滅したくないはず

環境が変わると、新しい環境に適した生き物しか生き残って行くことはできません。人がハワイ諸島に持ち込んだものによって、ここに生まれたいくつもの固有種が絶滅し、いまも多くの種が絶滅の危機に立っています。

環境を変えた原因の一つは、人が持ち込んだ外来種。生活するために家畜やペットを連れてきました。人や生き物に付いて植物の種も運ばれてきます。島の外との貿易に使う船にまぎれて、小さな生き物も入ってきました。多くの場合、いままで島にいなかった新参の生き物は、生態系のニッチ(すきま)に入り込み数を増やします。

ハワイの固有種ネネ。けっこう気が強い。

たとえば、ハワイ州の州鳥のネネ(ハワイガン)は、外来種によって絶滅の危機にさらされました。ネネは雁ですが、危険な生き物のいなかった環境のためか長い距離を飛ぶことは少なく、長時間を地上で過ごします。そのため、農家の天敵ネズミ(船などでやってきたと思われます)を退治するために人間が連れてきたマングースなどの格好の餌食になってしまったのです。さらに悪いことに、ネネは地上に直接卵を産むため、いとも簡単に今までいなかった動物たちに卵を食べられてしまい、一時はほぼ絶滅の状態になってしまいました。幸いなことに、その後、保護活動によって、いまでは個体数が回復してきているそうです。(とはいえ、種内の多様性が減少してしまったことによる問題があるそうです。)

マングースを捕らえるためのワナ


農業や住宅地・商業地建設のための森林破壊や人間による捕獲(食料、ペットなどの目的)も大きな脅威です。また、間接的に気候変動も生き物たちに影響を及ぼします。雨の降り方や量が変わり、花の咲く時期や分布が変わると、そこに棲んでいた昆虫などの生息状況が変わり、さらにより大型の生き物たちも影響を受けます。いつかヒトという種も、その知恵や行動力では太刀打ちできない状況に直面することになるかもしれません。



ハワイ動物園のパネル。「最初のカヌーがやってくるまで、ハワイは鳥たちの王国だった」