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2016/05/23

グリーン・テキサス① 豪雨

近頃、テキサスに投資が集まって、ずいぶんと景気がよいそうだ。あちこちでオフィスビルも作られているとか。それまでわたしの持っていたテキサスのイメージと言えば、西部劇やバーボンの本場ということくらい。そんなテキサスを訪れる機会がやってきた。自然保護NGOとのミーティング。そのあとでいくつかの自然保護区を訪問することに。

テキサスの観光地。アメリカの歴史を学ぶ上で重要な場所。



高層ビルから見る雨の様子。
ここから見る雷は迫力あり。
まず訪問したのは、自然保護NGOのオフィス。1階にスターバックスが入っている高層ビルの高層階。大きなガラスの窓から、テキサスのオフィス街中心部が一望できる。辺りには建設中のビルがいくつも。「すぐそばの橋の下に、コウモリの大群がすんでいるんだ。夕方、一斉にエサをとりに飛び立つ様子は必見だよ。毎日、大勢が見物に来ているよ」と、生物学者のスタッフが大きな窓から大通りを指差した。

夕立

立ち上がって窓に近づいたときだった。突如、橋の方向に閃光が走った。気がつくと橋の方角には黒く厚い雲が広がり辺りが暗くなっていた。大きな雷鳴とともに、大きな音をたてて激しい雨が降り始める。先週までしばらく雨の降らない日が続いていたが、この数日はめまぐるしく天気が変化しているという。気候変動の影響なのか、近頃は、いままでどおり雨の時期がやってこないし、突然豪雨になるし、とにかく天気が荒々しくなっているようだ。そういえば、ワシントンからのフライトでも、先に出た便がかなり揺れたとアナウンスされていたなあ。

洪水警告音を聞きながら自然保護区へ

テキサスの有名人といえば、ブッシュ元大統領。目指す自然保護区に向かう途中、彼の農場がある辺りを通り過ぎる。初夏。道路の両側にはワイナリーや農場が広がり、緑が濃い。小川も多い。まったく映画の西部劇の景色とは違う自然豊かな土地だ。


テキサスには丘が多い。
道路の両側には濃い緑が広がるが空はどんよりムード。


宿泊先を出発する前に、スマートフォンが大きな警告音を鳴らし始めた。「Flood Warning」洪水警告だ。「低い場所から直ちに退避!」と表示。最近のスマートフォンの機能は頼もしい。ドライブの途中でまたも警告音。何度か川の近くを通り過ぎたが、そのたびに不安になる。この時期、洪水で被害者が多く出ており、前日も死者と行方不明者がでていた。

自然保護区に到着する頃には、空は黒い雲で覆われ、ときどき稲光が走り、わたしたちのスマートフォンは、警告を鳴らし続ける状態が続いていた。雨が降り始める。公園事務所に着いた頃には土砂降りに。公園で生き物探しのまえに、まずはランチをしながら雨のあがるのを待つことにした。お目当てのマップ・タートルに会いにいくぞ!

到着したときには乾いた通路。豪雨の後は急流に変身。

テキサスにはドイツ移民が開拓した村がある。ドイツレストランでランチ。
カレーソースのソーセージ。美味♡

ランチの間に雨があがった。よし、公園に戻ろう!


2015/11/23

サボテン絶滅の危機が高まっています

ほとんど雨の降らない乾燥地で生きていけるサボテンたち。かなりタフに見えますが、実は、3割近くのサボテンの種が絶滅の危機に直面しているそうです。

サボテンは動物たちに食料と水を提供し、
動物たちはサボテンの花粉を媒介して実をつけるのを助けています。


今年10月に、サボテンの種の世界的な評価の結果が発表されました。このような世界的な総合評価が行われたのは初めてとのこと。実は、ホ乳類や鳥類よりも危機の度合いが高いことが判明したのです。

危機の原因は、生きているサボテンやタネの違法な取引によるものです。その他に、放牧や農業も脅威になっています。


サボテンは乾燥地の生き物たちの命を支えています。


サボテンは、南北アメリカ大陸の乾燥地にすむ多くの生き物にとって、食料や水分を得るために不可欠の存在なのです。野生のシカ、ウサギ、ネズミ、コヨーテ、七面鳥、トカゲ、カメなど多くの種がサボテンを頼りに生きています。また、人間が利用しているサボテンは、なんと1480種もあります。


1975年以降、ほとんどのサボテン種がワシントン条約付属書に掲載されましたが、コレクターによる違法取引の脅威は続いています。

サボテンの危機に関するIUCNの報告書

2015/07/05

コーヒーやチョコレートにも大きな影響。世界中で深刻化する干ばつと天候不順

ブラジルの干ばつ


昨年、世界最大のコーヒー生産地ブラジルでの深刻な干ばつによって、コーヒー生産量が減少し、コーヒー豆の国際市場価格が急騰しました。ここ数年、天候不順による農作物への影響が問題になっていましたが、昨年は、干ばつで収穫量に影響があったのに加え、収穫時期にはエルニーニョによって降雨があり、豆の乾燥工程に影響したそうです。

ブラジルのサンパウロでは、昨年大規模な森林火災が頻発。降雨量が減り乾燥した草木は燃え上がるのが早く、なかなか鎮火できなかったようです。ブラジルでは、農地開発などによって森林の面積が減少し続けています。


ブラジルのセハードを空から。もとの自然はあまり残っていない。放牧地や大豆畑が多い。

ガーナでカカオ生産低迷


チョコレートの原料であるカカオの生産地ガーナでは小雨が続いており、昨年のカカオ豆収穫量90万トンに対して、今年の収穫量の見込みは、約70万トンと大幅に減少すると見込まれています。昨年西アフリカを襲ったエボラ出血熱は、カカオ生産地のガーナやコートジボアールなどには広がらなかったものの、国際市場価格上昇に影響し、ハーシーなど世界の大チョコレートメーカーが小売価格を8パーセントも値上げしたそうです。今年は生産の減少によって、さらなる価格高騰が懸念されています。

おいしいチョコレートは、なぜか
カカオ生産地ではない国からやってきます。
今年は、天候条件に加え、カカオの木を守るための農薬などの使用時期が遅れたことも、生産不調に影響しているようです。

2011年以降、カカオ価格が2年間にわたり低迷したことによって小規模農家の収入が減り、政府から支給される苗木や農薬購入のための補助金を農家が使いたがらず、農薬や木を守るための菌を買う時期が遅くなったことが影響しているとガーナ・ココア・コーヒー・シア農家協会は分析しています。(ウォールストリートジャーナル記事参照)

円安が続いているため、日本では輸入品であるコーヒーもチョコレートも値上がりしていますが、中国などで急速に需要が増加していることに加え、生産地の気候不良によって生産量が減ってしまえば、さらに値段が上がる可能性があります。

農作物生産には、安定した気温と降水が必要です。発芽、苗の成長、開花、結実、収穫というそれぞれの生育の段階に適切なタイミングでの環境の条件が重要なのです。そして、生産者の生活や生産国の状況などの社会的条件、選ぶ人の目利き、取引における国際的な安定、商品を生み出す技術など、私たちのところに届くまでには、実に多くの要素が絡んでいるのです。

気候変動の影響はますます深刻に


カリフォルニアでもここ四年にわたり深刻な乾燥状況が続いていて、農業や生活用水の不足や大規模な森林火災が問題になっています。

カリフォルニアの乾いた大地に植えられた農作物。
畑には灌漑のホースが張り巡らされている。

アメリカの食を支えるカリフォルニアの干ばつ


カリフォルニアは、アメリカ農作物の大生産地。高速道路を走ると、トマトやオレンジを積んだトラックとすれ違います。乾燥した大地の中で、アーモンドやトマトなどの青々とした農地は不思議な光景に見えるのですが、畑にはくみ上げた地下水を供給するホースが引かれているのです。多量の水が使われるため、長い時間をかけて蓄えられた地下水は、かなり減ってしまっているそうです。この地下水や川からくみ上げる水は、シエラ山脈に降る雪をもとにしていますが、近年、積雪量が減少し、さらに気温が高くなっているため、早い時期から解け出してしまっています。

家庭に例えると、父親の収入が減り(降雨減少)母親も働きに出た(地下水汲み上げで枯渇)のに、子どもにかかる教育費がどんどん増え(農地拡大)、生活費全般も値上がり(森林火災の増加)して、父親に定年が迫っている(森林面積の減少、気候変動)−というような状況。

カリフォルニアワインも収穫が減ると見込まれています。ただ、昨年の収穫は、少ない降水量のため、味が良くなっていると分析されています。


2014/12/19

シドニー 世界自然公園会議(WPC) ④ 会議の進み方とペーパーレス化

広い会場で、さまざまなテーマの議論が進行しました。会議は、全体会議、Park(公園),People(人)、Planet(わたしたちの地球)の3つの小全体会議、8つの分科会、主要テーマのセッション、世界のリーダーたちによる対話、ワークショップがあります。また、パビリオンでは、国や団体によるブースや展示、ミニイベントが行われました。

WPCの受付。

ペーパーレス会議

これらのたくさんの会議のスケジュールを自分自身で把握するのも一苦労なのですが、今回の特長はペーパーレスです。パソコンや携帯電話やタブレットに会議のappをダウンロードして自分のスケジュールを管理することができました。いままで国際会議に行くと、大抵、受付で分厚い会議スケジュールや資料を、それらを入れるバッグと一緒に受け取っていましたが、今回はネームタグだけ。あれ?っと一瞬は物足りなく思いましたが、シンプルだし、紙を使わなくてすむし、会議中や帰りの荷物も軽くなって、とてもよかったです。

会場の周囲にWPCの旗。

ストリーム

8つの分科会(ストリーム)は、次のように分かれていて、それぞれの分科会からの報告が「シドニーの約束」に反映されていきます。

分科会1は、Reaching Conservation Goals(保全目標への到達)。適切に計画され運営されている保護区が保全に取って不可欠であることを示します。IUCN世界保護区委員会や種の保存委員会などが議論をリード。世界自然遺産などに関して議論が行われました。

分科会2は、Responding to Climate Change(気候変動への対応)。自然のシステムの回復は、気候変動への対応力をもたらします。保護区をつなげて機能を強化させることによって、水を蓄える力、人と野生生物の衝突の減少、エコシステムサービスの提供などに成功したケニアの事例などが発表されました。

分科会3は、Improving Health and Well-Being: Healthy Parks Healthy People(健康で幸せな生活)。2045年までに8割の人が都市で生活しているといわれています。人々が日常的に触れることのできる都会の自然公園がいかに大切か、都市にグリーンベルトを設けることで生物多様性と人の生活が著しく改善され、経済的な効果も高いことが報告されました。

分科会4は、Supporting Human Life(人の生活を支える)。人の暮らしの持続的な発展のために、保護区がもたらす社会経済的な恵みについて。例えば、食料、飲料や産業用の水、防災機能などです。自然を守るための資金のしくみなどについて紹介されました。

分科会5は、Reconciling Development Challenges(発展目標との融合)。経済発展と自然保護とのバランスをどう見つけるか。

分科会6は、Enhancing Diversity and Quality of Governance(多様性とガバナンスの質の強化)。

分科会7は、Respecting Indigenous and Traditional Knowledge and Culture(先住民族と伝統的な知識と文化への敬意)。伝統的な知識を持つ人々が保護区の仕事につけず、“正式”な教育を受けた人だけが職を得ることができる現状を変える必要性が指摘されました。

分科会8は、Inspiring a New Generation(若者を立ち上げさせよう)。開会式でも若者の行動の重要性が強調されていました。若者の声には、人を動かす力があります。カナダやオーストラリアなどからいくつものアプローチが紹介されました。



会議場でのランチ。。
小全体会議や上記の分科会は平行して開催されているので、関心のあるテーマに絞って参加しました。次回、わたしが参加したセッションを、いくつか紹介します。


余談ですが、会議中はあまり美味しいものに出会うことができませんでした。たとえば、水気の少ないサンドイッチに飽きて、右の写真の「ライスヌードル」を注文したのですが、一見ベトナムのフォーのようなのに、期待と大きく違いました。コンビニで買ったインスタントのカップ麺も二口目が食べられなくて。そして、食べ物や飲み物の値段がとても高くて驚きました。会場だけでなく、オーストラリア全体で高いみたいです。

2014/12/08

シドニー 世界自然公園会議(WPC) ② 開会式

開会式が始まる。自然保護のリーダたちが集結。

WPCの会場は、2000年のシドニー・オリンピックの競技会場。十分なスペースがあり、各イベント会場への移動がしやすく配置されていました。いよいよ12日。開会式にぞくぞくと参加者が集まってきました。なかなか入場できなかったので、入り口の前に大きな人だかりができました。今回の参加人数は、6000人近くになる見込みとのことです。

先住民族アボリジニの楽器、ディジリドウの演奏。
息を継がず、循環させて音を出す難しい楽器です。

オーストラリアの先住民族のダンスパフォーマンスで開会式が始まりました。見事なアボリジニの民族音楽ディジリドウの演奏。先住民族は、自然保護の重要なステークホルダーです。

開会式をリードするのは、IUCN事務局長のジュリア(Julia Marton-Lefevre)さんとエルネスト(Ernest Enkerlin Hoeflich)さん。笑顔とユーモアで数カ国後を話しながらのフレンドリーな見事な司会。他の方が話す間もこの開会式中ずっと長時間立ったままでした。

IUCN事務局長のジュリアさんたちの司会。
参加者すべてに参加していると思わせてくれる素晴らしい司会。



IUCN会長ジャン氏は2012年にアジアからの初めて会長に着任。

IUCN会長のジャン氏(Zhang Xinsheng)は、前回のダーバンWPCから、海洋保護区の増加を含め、保護区の面積が2倍に増えたこと、保護区はカーボンを蓄え、洪水や干ばつに対して回復力を増やすなど、気候変動に取り組むために重要な役割を果たすことについて語りました。そして、すべての人に「保護区と、人々と、この地球のために」協力することを呼びかけました。

開催国オーストラリアの環境大臣のご挨拶、国連事務総長バン・キムン氏のビデオメッセージなど、多くの方からのご挨拶が続きました。グレートバリアリーフの中からのメッセージも生中継で届きました。


マンデラ氏へのオマージュと先住民族への敬意

ステージのスクリーンはまるで巨大コンピューターの画面。会議ロゴが映っていたかと思うと、話し手の顔のアップ。次には自然の風景。効果的に使われていました。いまは、看板を作ったり巨大TVモニターを設置したりしなくていいから便利です。

ネルソン・マンデラ氏のメッセージ。教育は自然を守るためにもとても重要。


このスクリーンに次にアップになったのは、11年前のダーバンで強烈なカリスマ性で人々を魅了したマンデラ氏。将来のために自然を守るために教育が重要であることを強調した2003年のスピーチのビデオが流れました。参加者たちはマンデラさんの偉業に敬意を表し大きな拍手。ひ孫のルブヨ・マンデラさんが壇上に登場し、若者の活動の重要性をアピールしました。

また、キリバス、パラオ、クックアイランドからはそれぞれ大統領が参加。気候変動の影響を大きく受けている国の指導者たちは、自然保護の取り組みで世界をリードして行く思いをスピーチしました。まさに前日アメリカと中国が気候変動問題で合意したことを歓迎し、島の人々の伝統的な生きる知恵、自然資源を回復できる範囲でだけ利用する“The Bull”という方法があり、国際社会にもそのやりかたで、自然資源を守るようよびかけるために2004年に立ち上げたミクロネシア・チャレンジを紹介。そして、「自分たちだけではできない」と国際社会の協力を呼びかけました。

南太平洋からシドニーまで航海してきたカヌーが、前日に港に到着!
メンバーが島のダンスを踊ります。

実は、この会議に向けて、南太平洋の島から航海してきた一群が、前日にシドニーハーバーに到着していました。世界最年少で世界一周の航海を成し遂げたジェシカ・ワトソンさんがエルネスト氏と一緒にこれを紹介し、会議の開催を宣言。航海してきたメンバーが登壇。お祝いのダンスが披露され、会場はスタンディングで喝采を送りました。

次は、このWPC(世界自然公園会議)とはそもそもどんなものなのか、について紹介します。



2014/09/25

国連気候変動サミットでディカプリオ氏演説。「個人レベルを超えた大きな行動を!」

ニュースで「気候変動」という言葉を聞いたり見たりしない日はないくらい、日常の中で気候変動を意識することが増えてきました。

異常な大雨、干ばつが世界の各地で多発しています。外国へ旅行するときにも、旅行ガイドに書かれていた雨季と乾季は、もう当てになりません。カリフォルニアでは、ここ3年以上も強い乾燥が続き、山火事が頻発しています。今年は、最悪の山火事の年と言われた昨年を上回り、年間にわたり山火事が起き、その規模も大きくなっています。

カリフォルニアの水瓶の一つイザベル湖。
渇水のため、満水時の1割程度しか水がない。

気候変動は植生に影響を及ぼし、それらを食べる生き物たちの行動も変えます。自然から直接材料を手に入れ、野生生物を食料としてきた人々も生活パターンを変えなくてはなりません。生活のための水を手に入れられる場所も時期も、その量も変わってきているはずです。

今週、ニューヨークで国連気候変動サミットが開催されました。これに先立ち、さまざまな呼びかけが行われ、日曜日には40万人を超える人々がニューヨークで気候変動への行動を呼びかけ行進しました。オバマ大統領の呼びかけは力強いものでしたが、同じタイミングでISに関する声明も繰り返し放送されたので、そちらの印象が強くなってしまった感じも。

このたび国連の平和メッセンジャーに選ばれたレオナルド・ディカプリオ氏の演説は、とても素晴らしいものでした。

レオナルド・ディカプリオ氏 国連気候サミット演説
国連のビデオ画像より

特に心に響いたのは、「もう個人レベルでハイブリッドカーを買うとかいうことではない。国家レベルで大規模な行動を起こすべきだ」というメッセージです。自分自身の環境への配慮を体現してきた彼の言葉だから、なおのこと強く伝わりました。

気候変動がエコシステムを壊してしまえば、私たち自身の生存も危ない。それは明白で、アメリカの軍ですら知っているのです。「気候変動は最大の脅威だ」と。

そして、市民は、国家や企業を動かすことができます。今、行動しなければ。
"You Can Make History"!



ディカプリオ氏の演説のビデオはこちら。

日本語訳はここから読めます。