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2013/10/24

サラマンカ発。自然保護のメッセージを伝えるパワフルなアート

スペインで開かれたWILD10では、自然保護のメッセージを伝えるためのさまざまな手段やアイデアが紹介されました。



優れた写真や絵画は、自然の素晴らしさや神秘を力強く伝えてくれます。会場では、自然の写真や写真集を紹介するブースがたくさんありました。

いろいろな団体の展示ブース


とくに印象的だったのが、アメリカのCreative ConservationistのAsher Jayさんの「Art and Conservation Activism(芸術と自然保護運動」の発表と展示です。「Creative Conservationist」を、どう日本語に訳していいのかがわからないのですが、「自然保護クリエイター」と一応。前回投稿したサイの角の違法狩猟に反対するアートも彼女のものです。

Asherさんの作品。
原猿から類人猿へ。人類の次は、死神・・?


下の写真は、フカヒレ漁を風刺したものです。中国をはじめとして、富裕層が増加した東アジアの国で、パーティーなどへのフカヒレの需要が急増し、それをまかなうために、サメのヒレだけを狙う漁が行われているのです。サメ自体は死んだまま海に捨てられてしまうそうです。フカヒレ漁は、道義的に疑問であるだけでなく、絶滅の危機にある世界の多くのサメにとって大きな脅威なのです。

フカヒレだけを狙う漁への反対を訴えるアート


次の写真はメッセージボトルです。たくさんのボトルがつり下げられている展示の様子、すてきでした。

さまざまな海へのメッセージ
「フカヒレスープをやめよう」


いくつものメッセージが空中に


スペインと言えば、天才芸術家ガウディを思い浮かべる人も多いのでは。代表的なサグラダファミリアをはじめ、彼の建築には、自然のモチーフが多く使われています。というよりも、自然に学んでデザインをしているというほうが適切かもしれません。花の構造、カタツムリの渦巻き、葉脈、など、自然には美しく合理的なデザインがあふれているのです。

ガウディに関するセッションの様子
ガウディのデザインがどんなふうに
自然から学んでいるのかの説明



ほかにも面白い発表がいくつも。
WILD10のウェブサイトをぜひご覧ください。http://wild10.org/en/


2013/10/11

原生自然に関する国際会議・WILD10がスペインで開催

2013年10⽉4日から10日まで、スペインの歴史的な街・サマランカで、WILD10(World  Wilderness  Congress/WWC)が開催されました。この世界最大の原生自然に関する会議は、1977年に初めて南アフリカで開催されてから、これまでに3〜4年ごとに開催され、今回10回目を迎えました。

WILD10。グローバル会合のようす


世界から1000⼈近くの環境保護に携わる科学者、保全活動家、政府関係者、先住民コミュニティの代表、アーティスト、政治家、土地所有者、企業リーダーが参加し、科学や保護活動だけでなく、成功事例や経験、見識、感覚、芸術的表現や不思議な体験などについても取り上げ、地球にとってよりよい未来について議論されました。

会議は、多くの組織や専門家の協力で開催され、ワイルド財団(WILD/The  Wild  Foundation) がファシリテーションをしています。ワイルド財団は、1974年に南アフリカで設立されアメリカで登記されている⾮営利団体です。

ウェブサイト:www.wild10.org
Twitter:@wild10_wwc

WILD10で議論されたテーマ
  • ヨーロッパの原生自然
経済や政治の変化の結果、ヨーロッパで⻑い間失われていた⽣物多様性や原⽣自然地域が帰ってきています。新しく、⼤きく、連携した原⽣自然地域へのチャンスです。

  • Nature Needs Half — 半分は自然のために
環境保全の科学によって、健全で持続的な地球のための⾃然や自然のプロセスを守るために、少なくとも陸や海の半分を残すことが必要であることが示されています。
  • 水の危機
海、湖、川は、現在、最も危機にさらされています。地球の気候を統治し、二酸化炭素を吸収し、淡水、酸素、⽔を提供している海洋は、過剰漁業、プラスチックや化学物質による汚染、酸性化、気候変動などによる危機的な状況にあります。海洋保護区(MPAs)や持続可能な漁業管理は、バランスを取り戻すための解決策の⼀部です。

その他、以下のテーマが議論されました。

  • 自然保護のスケール
  • 先住⺠族とコミュニティの⼟地と海
  • 都市の再原⽣自然化、若いリーダー、⽣活の変化
  • ヨーロッパにおける⾃然の回帰、雇⽤創出と新経済という総合的な解決
  • ⾃然と原⽣自然 –文化を通して
  • ヨーロッパの⼤自然の回復
  • ⾃然ベースの開発 –ビジネスと原⽣自然のリンク
  • コミュニティと“私有地”の重要な役割
  • 保護区はまだ必要か?


日本では「里山」など、人の手の加わった自然のほうがなじまれているので、原生自然のイメージが割と伝わりづらいかもしれません。

原生自然とは、人の⼿が加えられていない元のままの自然。科学的、芸術的、道徳的、存在価値など多くの恵みを人類にもたらしています。そこは多くの野生生物のすみかで、絶滅の危機にある希少な生き物の最後の砦ともいえる場所です。

サイの角の違法伐採をやめようとよびかけるアート


ヨーロッパを巡る“グリーントレイル”ネットワークづくりを目指し、「サラマンカへの道」 としてヨーロッパの美しい景観のなかを 2500 キロメートルも歩いてきたジェフ・ダルギッシュ氏は、歴史的に巡礼者の重要な拠点であったサラマンカの会場で、参加者から⼤きな拍⼿で称えられました。

“グリーントレイル”ネットワークづくりを目指しサマランカまで歩く!

サマランカの町は世界遺産に登録されています。
コロンブスが滞在した修道院も。




2013/10/01

スマトラサイはベジタリアン

スマトラサイは、柔らかい葉っぱや果物や野菜が好きなベジタリアンです。

柔らかい葉っぱが好き♡


サイはたくさんの量を食べるので、この国立公園にいる5頭のサイのために、5人の“フード・コレクター”が毎日、葉っぱを集めてきます。ここは原始の森ではなく、二次林ですが、サイにとっては、柔らかい葉っぱを見つけやすい森なのです。

嬉しそうに葉っぱを食べてます♡


以前は農地の近くからも葉っぱを集めてきていたのですが、農薬がかかっていたためサイがおなかを壊してしまい、今では、“無農薬”の葉を集めるように気をつけているそうです。サイの食べる葉っぱのために、種を蒔き、木を育てるプロジェクトも行われています。

飼育員のみなさん


飼育員のみなさんは、愛情たっぷりにサイを世話していました。ここで働いて10年になる飼育員のサルノさんは、担当のサイにとって、何が好物でどんなふうに食べたいのか、完璧に把握しています。たとえば、地面に直接おかれた食べ物は嫌がるので、汚れてしまうと洗い直してあげています。また、スイカやカボチャなどの果物スイーツが大好きなので、健康検査があるときなどは、果物で気を引きつけている間に、獣医さんが検査をします。