Translate

2013/10/11

原生自然に関する国際会議・WILD10がスペインで開催

2013年10⽉4日から10日まで、スペインの歴史的な街・サマランカで、WILD10(World  Wilderness  Congress/WWC)が開催されました。この世界最大の原生自然に関する会議は、1977年に初めて南アフリカで開催されてから、これまでに3〜4年ごとに開催され、今回10回目を迎えました。

WILD10。グローバル会合のようす


世界から1000⼈近くの環境保護に携わる科学者、保全活動家、政府関係者、先住民コミュニティの代表、アーティスト、政治家、土地所有者、企業リーダーが参加し、科学や保護活動だけでなく、成功事例や経験、見識、感覚、芸術的表現や不思議な体験などについても取り上げ、地球にとってよりよい未来について議論されました。

会議は、多くの組織や専門家の協力で開催され、ワイルド財団(WILD/The  Wild  Foundation) がファシリテーションをしています。ワイルド財団は、1974年に南アフリカで設立されアメリカで登記されている⾮営利団体です。

ウェブサイト:www.wild10.org
Twitter:@wild10_wwc

WILD10で議論されたテーマ
  • ヨーロッパの原生自然
経済や政治の変化の結果、ヨーロッパで⻑い間失われていた⽣物多様性や原⽣自然地域が帰ってきています。新しく、⼤きく、連携した原⽣自然地域へのチャンスです。

  • Nature Needs Half — 半分は自然のために
環境保全の科学によって、健全で持続的な地球のための⾃然や自然のプロセスを守るために、少なくとも陸や海の半分を残すことが必要であることが示されています。
  • 水の危機
海、湖、川は、現在、最も危機にさらされています。地球の気候を統治し、二酸化炭素を吸収し、淡水、酸素、⽔を提供している海洋は、過剰漁業、プラスチックや化学物質による汚染、酸性化、気候変動などによる危機的な状況にあります。海洋保護区(MPAs)や持続可能な漁業管理は、バランスを取り戻すための解決策の⼀部です。

その他、以下のテーマが議論されました。

  • 自然保護のスケール
  • 先住⺠族とコミュニティの⼟地と海
  • 都市の再原⽣自然化、若いリーダー、⽣活の変化
  • ヨーロッパにおける⾃然の回帰、雇⽤創出と新経済という総合的な解決
  • ⾃然と原⽣自然 –文化を通して
  • ヨーロッパの⼤自然の回復
  • ⾃然ベースの開発 –ビジネスと原⽣自然のリンク
  • コミュニティと“私有地”の重要な役割
  • 保護区はまだ必要か?


日本では「里山」など、人の手の加わった自然のほうがなじまれているので、原生自然のイメージが割と伝わりづらいかもしれません。

原生自然とは、人の⼿が加えられていない元のままの自然。科学的、芸術的、道徳的、存在価値など多くの恵みを人類にもたらしています。そこは多くの野生生物のすみかで、絶滅の危機にある希少な生き物の最後の砦ともいえる場所です。

サイの角の違法伐採をやめようとよびかけるアート


ヨーロッパを巡る“グリーントレイル”ネットワークづくりを目指し、「サラマンカへの道」 としてヨーロッパの美しい景観のなかを 2500 キロメートルも歩いてきたジェフ・ダルギッシュ氏は、歴史的に巡礼者の重要な拠点であったサラマンカの会場で、参加者から⼤きな拍⼿で称えられました。

“グリーントレイル”ネットワークづくりを目指しサマランカまで歩く!

サマランカの町は世界遺産に登録されています。
コロンブスが滞在した修道院も。