首都アンタナナリボ |
マダガスカルのキツネザル(Coquerel's sifaka) |
バオバブやキツネザル(レムール)などのユニークな自然で知られるマダガスカルですが、実は、2009年1月以降、政治的な混乱が続いています。
クーデターで実験を握った元ディスクジョッキーのラジョエリナ(Rajoelina)大統領が3月に就任。前大統領のマーク・ラヴァルマナナ(Ravalomanana)氏は国外に亡命しました。
今年1月に、ラジョエリナ大統領とラヴァルマナナ前大統領とも、次の大統領選に出馬しないとの声明を出しました。10月25日に実施された第1回選挙では、過半数を超えた得票者がいなかったため、今回、ラヴァルマナナ氏側のRobinson Jean Louis氏とラジョエリナ氏側のHery Rajaonarimampianina氏の二人の候補者の決選投票です。
クーデター後の暫定政府は国際社会から認められず、海外からの支援資金がストップ。支援を受けていた多くの自然保護プロジェクトは中止や延期に追い込まれたのです。国立公園や保護区では、十分な監視が行き届かず、貴重な自然が破壊されています。
とりわけ深刻な問題のひとつが、ローズウッドなどの高級木材を狙った違法伐採です。最大の仕向地は高級家具材として需要が急増している中国です。また、欧米では、楽器、チェス、高級床材などに使用されます。暫定政府のもとで、原木の輸出が合法化され、違法伐採に拍車がかかりました。すぐに国際社会からの批判が高まり、高級木材の輸出が禁止されますが、それでも、密輸は続き、2011年7月には、島の北西部にある港から、60万ドル相当のローズウッドのコンテナ6箱が押収されました。
多くの丘陵地には木が残されていない。土壌浸食が激しい。 |
上流の土壌浸食で、手前の川は土色。奥の川の上流部にはまだ森が残っている。 |
ヘサキリクガメ |
マダガスカルの野生動植物違法取引防止に取り組む団体
Wildlife Conservation Society
Durrell Wildlife Conservation Trust
Turtle Survival Alliance
Madagascar Biodiversity Partnership
Turtle Conservancy
Conservation International
World Wildlife Fund
いつも驚いたような まん丸い目をしているシファカ |
マダガスカルの大きな収入源は観光です。しかし、政情不安に加え、国立公園や保護区が荒らされ、動植物がいなくなってしまえば、将来の収入は見込めません。
長期的な政治の不安定は、国民の生活を直接不安定にさせるだけでなく、その混乱の際に失われる自然資源の劣化によって、将来の国民の生活を支える要素をも減らし続けてしまいます。10人のうち9人が一日2ドル以下の生活を送っているほど貧困度の高いマダガスカルで、その貧困層が最も深刻な影響を受けてしまいます。一刻も早く、この混乱が解消されてほしいと思います。
雰囲気の良いリゾートホテル。観光収入は重要な歳入 |
有名なバオバブ街道以外でも趣のあるバオバブを見ることができます。 まだあまり知られていない海岸部は美しく、観光のポテンシャルは高そう。 |
なお、日本政府はこの選挙に関して1億100万円相当を支援しています。 「信頼性のある,自由・公平かつ透明性が確保された大統領選挙及び国民議会選挙が平和裡に実施され,マダガスカル国民の総意が反映された新政権が早期に発足することを強く期待します。」(外務報道官談話より) 全く同意です。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/page24_000085.html
今回の選挙の様子は日本語ではあまり報道されていませんが、有名なマダガスカル研究者の深澤秀夫氏のブログで速報されています。
http://ameblo.jp/hideofukazawa/
国際的な報道によれば、今回の選挙は「公正・公平」に実施されたと、いまのところ評価されています。結果の発表に続くさまざまな問題の解決が待ち遠しいです。
絶滅の危険度がたいへん高いヤシを植樹。 またここに戻って来れることを友人たちと願い、髪の毛を一緒に埋めました。 マダガスカルのヤシは2012年のレッドリストに掲載され、危機が警告されました。 |