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2014/04/18

スリナムの旅② リバー・ドルフィン(カワイルカ)・ウォッチング

世界遺産の町パラマリボ

スリナムの首都パラマリボは、オランダ統治時代の名残をとどめ、この町全体がユネスコ世界文化遺産に登録されています。ヨーロッパを感じさせる窓やドアなどの装飾が美しい建物が並んでいて、町並みを案内するガイドツアーがあり、ユニークな各家屋の詳細を紹介する本も本屋さんでみつけました。

オランダ風の建物。今も使われています。

かわいい装飾の電灯


リバー・ドルフィン(カワイルカ)・エコツアー!

この町に流れる雄大なスリナム川の河口部では、漁業が盛んです。この川には、ピンクのリバー・ドルフィン(カワイルカ)がすんでいます。ナマケモノの保護をしているモニクさんの団体Green Heritage Fund Surinam(スリナム・グリーン遺産基金)のイルカ・ウォッチングツアーに参加しました。町の中心からすぐのところにイルカがいるなんて、すてきで不思議。


オランダからの観光客が多い。かれらの多くが1ヶ月近く旅しています。

夕方、船で上流に向かいました。しばらくなにもない川面を見ているだけでしたが、船頭さんたちはどうやら携帯と無線でイルカの所在地情報をシェアしているらしく、他の船からイルカ目撃の知らせが届き、すぐにそちらに向かいました。

イルカたちは、ウナギを食べにやってきたそうです。数頭の群れです。次々に魚を食べ、船の脇を通り過ぎて行きます。子どものイルカはお母さんイルカにぴったりくっついて漁を学んでいました。

おなかがピンクのかわいいリバー・ドルフィン(カワイルカ)


リバー・ドルフィンは世界中で絶滅の危機に直面しています。食料として、あるいは人間の漁を邪魔するとして捕獲されたり、漁業に巻き込まれたり(混獲)、川の汚染や開発による影響を受けています。

イルカウォッチングツアーから戻ると日没がきれいでした。

2014/04/08

スリナムの旅① ナマケモノってホントはどんな動物?

南米スリナムを旅してきました。アマゾン上流に位置する広大な熱帯林。国土の9割が原生林に覆われる水の豊かな国で、たくさんの生き物に出会いました。

ナマケモノと会いました

その名もナマケモノ。英語名もナマケモノを意味するSloth。とにかくのんびりで、ほとんど寝ているんじゃないかと思われています。でも、今回のスリナムの旅で初めて彼らと会い、実はいろんな表情を持ち、それぞれ個性的で、寝てばかりいるのではない、とても魅力的な生き物だということがわかりました。

ミユビナマケモノ。なんともジェントルな表情

ナマケモノは、南米、中南米の熱帯林に生息し、大きく分けて指が二本のフタユビナマケモノと三本のミユビナマケモノがいます。フタユビナマケモノがゆったり癒し系なのに対して、ミユビナマケモノはやんちゃな感じです。ナマケモノは動きがゆっくりなせいか、毛皮に苔や水草が成長することもあるのだそうですが、動きの遅いミユビナマケモノの方がたくさんの苔がみつかるのだとか。

やんちゃなフタユビナマケモノの赤ちゃん

モニクさんのナマケモノ保護活動

スリナムの首都パラマリボで、モニク・プールさんを訪問しました。ナマケモノなど森から追われたりケガをしたりした生き物を、元の森に近い環境に戻す活動をしている女性です。最近、パラマリボの周辺の森が伐採されることが増え、追われた生き物を助けたり、伐採前にそこからナマケモノを移動させることもあり、モニクさんへの保護の依頼が急増しています。

最初はナマケモノが何を食べさせたらいいいのかかさえわからず、有名なコスタリカのナマケモノ保護施設に相談すると、ウシではなくヤギのミルクがいいとの助言。モニクさんに保護されている子どものナマケモノは、ミルクをまず飲み、その後、人参やカボチャのすり下ろしなどをスポイトでもらっていました。モニクさんのキッチンや冷蔵庫はほとんどナマケモノの食べ物で埋め尽くされています。成長したナマケモノは、葉っぱ(生の)やフルーツなどを食べます。


ヤギのミルクをもらう子どもナマケモノ

ナマケモノの“その”事情

モニクさんが、ちょっともぞもぞした感じのナマケモノを指差して、「“そのとき”が近づいてきたナマケモノはそわそわしてくるからわかるのよ」。一頭がもぞもぞとした動きをしていたのですが、どうやらトイレに行きたいみたい。ナマケモノは、週に1回くらいしか排便しないそうです。普段は木の上で暮らしているかれらは、そのときには地上に降りてきます。もしかしたら敵の多い地上に降りる回数を減らすためにフンの回数を減らしているのかな。

BBCの記事にアクセス殺到

ナマケモノの生態にはまだ知られていないことが多いそうです。そのためか、パラマリボ周辺でナマケモノが見つかると、モニクさんに連絡が入るそうです。モニクさんは、ナマケモノのことをもっと人々に知ってもらうために、保護活動のなかで観察したり研究したりしたことを本にまとめる準備をしています。また、先日、イギリスのBBCがモニクさんの活動を取材した記事が発表されました。発表から二日間で125万人もの人のアクセスがあったそうです。

<BBCの記事はこちら>「200頭のナマケモノを救った女性」
http://www.bbc.com/news/magazine-26734289

モニクさんの活動はボランティアに支えられていますが、エサ代などの出費をどうするか、より多くの森の伐採計画によって保護しなければならないナマケモノなどの生き物が増えたら、どう世話をするか、世話をするスペースをどうするのかなど、いろいろ課題も抱えています。

モニクさんの自宅庭に作られた保護施設には、コアリクイやオオアリクイも保護されています。最近、ボランティアの人がオオアリクイに池付きの大きな小屋を造ってくれたので、オオアリクイは歩き回る範囲が少し広がったそうです。

パラマリボ市内で保護されたオオアリクイ


コアリクイとモニクさん

いま、モニクさんは、パラマリボの郊外にレスキューセンターを建設する準備を進めています。寝る時間も惜しんで、熱心に生き物の保護に取り組むモニクさんの活動への支援が広がってほしいと思います。


モニクさんの「Green Heritage Fund Surinam 」ウェブサイト
http://www.greenfundsuriname.org/nl/


(写真左)コアリクイは本来は夜行性なのですが、ここで保護されているコアリクイの一頭はお昼も活発。アクロバティックな動きを披露!







"The Gate to Freedom" ナマケモノが森へかえる


モニクさんの保護施設のナマケモノは、健康を取り戻すと森へ戻されます。もともと暮らしていた森はすでになくなっているので、適した場所を見つけるのだそうです。

川を進み人のこない森までナマケモノを運びます。

ナマケモノを森へ還すモニクさん

「彼らにとって最高に幸せなときね」とモニクさん。ナマケモノとのお別れの場所を「The Gate to Freedom」と呼びます。この日は二頭のナマケモノを森へ還しました。ナマケモノたちはゆっくりと木を登っていくのを確認すると、船は船着き場へと戻り始めました。食べるために狙う人たちもいるそうなので、人に出会わないようにと祈りました。

パラマリボに戻ると、モニクさんやボランティアの方達とディナーへ。インド風の夕食です。スリナムには、オランダの植民地時代に、他の植民地だったジャワやインドのゴアなどから連れてこられた人々の子孫がいまも暮らしていて、多様な食事を楽しむことができます。