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2014/06/18

2014 FIFAワールドカップ・ブラジル大会マスコットのアルマジロ、実は・・

いよいよ FIFAワールドカップ・ブラジル大会が始まりました!

日本は最初のゲームでコートジボワールに敗北しましたが、次のゲームが楽しみです。わたしの外国人の友人たちの間では、今回の日本選手への評価はものすごく高いです。

さて、大会の公式マスコット。今回は、ミツオビアルマジロ(Brazilian three-banded armadillo)の「フレコ」。ブラジルの東部、森と草原の境目に生息しています。敵に襲われそうになると、体を丸めてボールの形になることで選ばれたようです。


Fuleco.2013 Tânia Rêgo/ABr - Agência Brasil

実は、ミツオビアルマジロは、絶滅の危機に瀕しています。国際的な自然保護機関IUCNのレッドリストで、絶滅危惧種(ランクVU)に指定されているのです。
参考:レッドリストの評価(英語)

このアルマジロは、ブラジルだけにすんでいます。生息地はカチンガやセラードという草原地域ですが、特にセラードでは、世界各地からの穀物や農作物への需要に応えるため、農地が休息に拡大され、もとからの草原や森林は急激に減少しています。そのためにアルマジロはすむところを失い、数が激減しています。また食料としても捕獲されています。(南米の市場で、アルマジロの肉が売られているのを見ました。しっぽが長いのが特徴)

大会直前のBBCの記事によると、ブラジルの自然保護に関わる生物学者たちは、FIFAとブラジル政府に対して、ワールドカップの公式マスコットになったこのアルマジロを守るために、「1ゴールにつき、カチンガの1000ヘクタール以上を保護区にする」という提案をしました。最近の1大会辺りのゴール数の合計は、だいたい170ゴールなので、この提案が実現すれば、17万ヘクタールの新しい保護区を作ることができます。

また、コンサベーション・インターナショナル(CI)のブログでは、実際にミツオビアルマジロが丸まるところを目撃した生物学者による詳しい説明を読むことができます。
「How I Rediscovered the World Cup Mascot in the Wild」by Dr. Jose Maria Cardoso da Silva (英語)

ワールドカップが、世界のいろいろな自然や生き物、文化のことを考えるきっかけになってほしいです。開催地のブラジルは、地球の心臓・アマゾンを有し、セラードやアトランティック・フォレストという生物多様性ホットスポットを抱える自然大国でもあります。


南米各地でアルマジロ保護に取り組む研究者の
アルマジロ(これはボリビア)Tシャツ

ブラジルの森林には、5万6,000~6万2,000種の高等植物と多くのほ乳類が生息しており、これは世界の植物種の約20%、鳥類の20%、ほ乳類の10%に相当します。参考:環境省ウェブサイト


scientists in Brazil, waiting for an armadillo
アルマジロを見つけるために、炎天下で何時間も(何日でも!)待つサイエンティストたち。