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2015/03/19

スマトラ島南端のウェイ・カンバス国立公園で考えるエコツーリズム①

スマトラ島南部のウェイ・カンバス国立公園(Way Kambas National Park)。ここには、急激に減少するスマトラ低地林にわずかに残された貴重な森が守られています。

ボートで川をすすむ。両岸にサルや鳥たちが次々に現れる。


さまざまな生き物たちがすむ森


シアマン(フクロテナガザル)が軽快に枝を移動して行きます。

シアマンとも呼ばれるフクロテナガザルを探して朝の散歩。
黒い体毛で、その名の通り、手が長い。高い木の上を大胆に移動して行きます。

シアマンを探して上ばかり見ていると、地上の貴重な生き物を見逃すことも。マメジカというとても小さなシカが小径を横切って行きました。その途端、「あっ!」上空を横切る風呂敷のような影。ヒヨケザルが樹幹を滑空したのです。

ジャカルタから飛行機で1時間もかからないバンダール・ランプン空港から、車で数時間の移動。首都へのアクセスのよさは、自然への脅威ももたらしやすく、この周辺のスマトラの低地森林は、この数十年で急激に減少し、間もなくすべての森がなくなるのではないかと懸念されています。紙製品を作るため、さらにアブラヤシのプランテーションを作るために、次々に森林が伐採されてしまったことが最大の原因といわれています。また、この地域は倒木や枯れた草などが長年かけて積上ってできた泥炭湿地なので、一旦火災が起こると泥炭層が燃え、なかなか消えずに森を焼き続けます。

そんなスマトラ南部に残る、このウェイカンバス国立公園とブキットバリサン・スラタン国立公園は、スマトラの野生生物たちにとっても貴重な生息地で、スマトラトラ、スマトラゾウ、バク、ドール(アカオオカミ)を始め、絶滅が心配される希少な生き物たちがすんでいます。

次回、ウェイカンバス国立公園で出会った生き物たちについてご紹介します。