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2020/05/25

モロッコ旅行記① バーバリマカク


(ブログ当初の「ですます調」から、一旦「である調」に変更したのですが、また「ですます調」に戻ってしまいました。混在御容赦を。。)


アフリカ大陸の北西側に位置するモロッコ王国。地中海を挟んですぐ向こうはヨーロッパ。地中海と大西洋と砂漠と山脈に囲まれ、多様な自然を持つ国です。面積は日本の1.2倍で、農業、水産業、観光業が主要産業。日本では、タコやオリーブ、最近ではアルガンオイルの産地国として知る人も多いでしょう。

7世紀にはアラブの文化がモロッコに到達し、タイルやモスク、市場など魅力ある文化が作られてきました。立憲君主制のこの国には、アラブ人とベルベル人が暮らしています。




中央アトラス山脈のバーバリーマカク


北西アフリカのアトラス山脈は、モロッコ、アルジェリア、チュニジアにまたがる大きな山脈で、モロッコには最高で4000メートル以上のトゥブカル山があり、世界の登山家にも人気です。ヒマラヤスギや樫などが生育し、冬は雪に覆われます。

中央アトラス山脈。裾野では放牧が行なわれています。

バーバリーマカク


バーバリーマカクは、現在、モロッコとアルジェリアに生息しています。モロッコでは、裾野から標高2600メートルくらいまでの森や岩山に生息しています。ニホンザルに似ているサルです。ちなみにニホンザルは、英語でジャパニーズマカクと言います。ニホンザルはスノーモンキー(雪ザル)という呼称があり、雪の中で温泉に入る様子が人気ですが、バーバリーマカクも、冬には雪の中で活動します。

中央アトラス山脈の森の果実や木の葉を食べていますが、農業の拡大や森林の縮小などで、個体数は減り続けているそうです。最近行われた調査(2004)では、過去24年間で50パーセントも減少してしまい、IUCNのレッドリストでは、絶滅危惧種(EN)に位置づけされています。

ヨーロッパのジブラルタルには導入された集団が暮らし、「ヨーロッパで唯一のサル」として知られます。また、サハラ砂漠以北のアフリカ大陸で唯一の霊長類でもあります。


イフレン国立公園



今回訪れたのは、イフレン国立公園。ヨーロッパ風の家並みと街並みで、イフレンはモロッコのスイスと呼ばれています。秋冬はヨーロッパ並みに寒いです。一方、夏には避暑地として人気です。一帯はヒマラヤスギの森林を擁し、Vettelという場所から湧き出る水が人気です。ヨーロッパにも同じ名前の水がありますが別のものです。

観光客の車を覗き込むマカク。日本の観光サルのよう。。。

メス。性器が発達しています
あちこちで交尾するバーバリーマカク

イフレン国立公園は最もたくさんのバーバリーマカクが生息している場所です。駐車場には、バーバリーマカクが集団で登場します。かなり近くで観察することもできますし、サルから寄ってくることもあるので、メガネなどを取られないように注意を。

イフレンには、200種以上の鳥も生息しています。

美しいマツボックリ

イフラネ近郊。放牧が行われています

秋の黄葉がヨーロッパの雰囲気。見事なプラタナスの並木もあります


ヒマラヤスギの上で人間観察



2020/05/20

コンゴ民主共和国のマウンテンゴリラとレンジャーを救え!

レオナルド・ディカプリオ氏の環境保護支援に参加を!
マウンテンゴリラとレンジャーを救うための世界のミッション「ヴィルンガ基金」


新型コロナウイルス対策支援を開始したディカプリオ(Leonardo DiCaprio)氏たち、自然保護にもさらなる貢献


戦地・ヴィルンガ国立公園


「自然保護は戦争だ」ということをありのまま描いた衝撃的な自然保護ドギュメンタリー「VIRUNGA」(2014)がアカデミー賞候補にノミネートされたのは2015年のことでした。あれから5年。マウンテンゴリラの聖域ヴィルンガ(Virunga)は、何度も武装勢力に襲われ、多くのレンジャーや関係者を失いながらも、希少なマウンテンゴリラにどうしても会いたいと熱望する世界からの訪問者を受け入れてきました。




困難な状況下で、文字通り命がけでレンジャー達を指揮する公園長のエマニュエル氏は、人命やゴリラを失うたびに打ちのめされながらも、常に前を向いて、絶滅危惧種マウンテンゴリラの保護に力を注ぎ様々な場所で、世界の人々やリーダーたちに支援を訴え続けてきました。

ところが、いま、3つの極めてショッキングで大きな問題が立ちはだかっています。

武装勢力、新型コロナウイルス、エボラ出血熱に立ち向かうヴィルンガ国立公園


2020年3月はじめ、エマニュエル氏に届いたのは、エボラ出血熱が再流行を始めたらしいという知らせでした。エボラ出血熱は致死性の高い伝染病で、地元コミュニティに大きな負の影響をもたらし、世界からの旅行者を減らします。翌日、レンジャーが一人武装勢力に撃たれなくなったという知らせが入りました。

さらに、世界規模で、新型コロナウイルスが大流行を始めたのです。すでに昨年末から中国での大規模な流行があり死者が出ていましたが、今年の2月までは、それ以外の地域の人々はそれほど深刻に捉えていなかったように思います。ところが、3月に入ると、突然、カリフォルニア、ついでニューヨーク、大西洋の反対側のヨーロッパ、と、感染者が日を追うごとに激増し、重病者と死者数も見る間に信じられない数に。短期間のうちに、ほぼ世界のいたるとこで人々の命と健康が危険にさらされ、ツーリズムは打ちのめされました。4月に入ってもこのCOVID-19は猛威を振るっています。

ウイルスが国立公園周辺に入れば、高度で十分な医療体制のないアフリカのリモートエリアでは、致命的な被害がもたらされるでしょう。

また、ゴリラなど霊長類に感染する危険もあります。当面の間、訪問者がもたらす収入で国立公園を運営し、ゴリラと自然を守ることができなくなってしまいました。

その最中、酷く痛ましい来事が起きました。

4月24日、朝11時。公園事務所へ帰る途中だったレンジャーたちを武装勢力が攻撃しました。12人のレンジャーとドライバーの13人が殺されたのです。20代と30代のレンジャー。彼らの家族や友人、仕事仲間、そして世界の保全関係者の悲しみの大きさは言い尽くせません。


「ヴィルンガ基金」レオナルド・ディカプリオ氏、EU、エマーソンが支援を開始




ヴィルンガ基金への支援はこちらから。
https://www.globalwildlife.org/virunga-fund/

アマゾン森林火災にもいち早く支援を打ち出したディカプリオ氏、アース・アライアンスの一員であるEmerson Collective(故スティーブ・ジョブズ夫人、ロレーン・ジョブズ氏の財団)、ヨーロッパ委員会(EU)、が協力し、200万ドルをまずシード基金(最初の元になる資金)として支援します。EUもEmerson Collectiveも、COVID-19対応に多くの資金を支援し、応援している中での、迅速な取り組みの決定です。あまりにも多くのレンジャーを失ったヴィルンガ国立公園の運営、家族を失い困窮に直面しているなくなったレンジャーの家族の支援、病気の伝染防止など、地域での必須の活動に役立てられます。

私たちも、自分で可能な範囲の金額の支援で参加できます。資金はすべてヴィルンガ国立公園保全のために使われます。


地元スタッフ養成の重要性


現在、私たちが直面しているようなパンデミックの状況下では、国際的な支援を国際スタッフが現地に届けることは大変困難です。現地でのオペレーション、資金の運用、報告など、あらゆる面において、地元のスタッフ、研究者の育成がますます重要になってきます。将来的に保全のキャパシティやオーナーシップを強化するためにも、ローカル・スタッフの育成と国際社会との連携をどのように構築していくかは、コロナ大流行下で強調されてきた課題といえるでしょう。

そして、すぐに対応出来る柔軟で迅速な体制が必須。新型コロナを楽観視してきちんとした情報と理解に基づいた判断ができず、対応がもたもたしている国では、被害が甚大になっています。命を守る仕事である自然保護も同じです。

日本の人々にとっても他の世界の話ではありません。コロナ禍で図らずも多くの人が理解したように、世界のどこかで起きている問題は、いつか私たちの足元にやってくるのです。以前とは比べものにならないスピードで。


GWC(Global Wildlife Conservation)のプレスリリース(英語)はこちら