Translate

2020/05/25

モロッコ旅行記① バーバリマカク


(ブログ当初の「ですます調」から、一旦「である調」に変更したのですが、また「ですます調」に戻ってしまいました。混在御容赦を。。)


アフリカ大陸の北西側に位置するモロッコ王国。地中海を挟んですぐ向こうはヨーロッパ。地中海と大西洋と砂漠と山脈に囲まれ、多様な自然を持つ国です。面積は日本の1.2倍で、農業、水産業、観光業が主要産業。日本では、タコやオリーブ、最近ではアルガンオイルの産地国として知る人も多いでしょう。

7世紀にはアラブの文化がモロッコに到達し、タイルやモスク、市場など魅力ある文化が作られてきました。立憲君主制のこの国には、アラブ人とベルベル人が暮らしています。




中央アトラス山脈のバーバリーマカク


北西アフリカのアトラス山脈は、モロッコ、アルジェリア、チュニジアにまたがる大きな山脈で、モロッコには最高で4000メートル以上のトゥブカル山があり、世界の登山家にも人気です。ヒマラヤスギや樫などが生育し、冬は雪に覆われます。

中央アトラス山脈。裾野では放牧が行なわれています。

バーバリーマカク


バーバリーマカクは、現在、モロッコとアルジェリアに生息しています。モロッコでは、裾野から標高2600メートルくらいまでの森や岩山に生息しています。ニホンザルに似ているサルです。ちなみにニホンザルは、英語でジャパニーズマカクと言います。ニホンザルはスノーモンキー(雪ザル)という呼称があり、雪の中で温泉に入る様子が人気ですが、バーバリーマカクも、冬には雪の中で活動します。

中央アトラス山脈の森の果実や木の葉を食べていますが、農業の拡大や森林の縮小などで、個体数は減り続けているそうです。最近行われた調査(2004)では、過去24年間で50パーセントも減少してしまい、IUCNのレッドリストでは、絶滅危惧種(EN)に位置づけされています。

ヨーロッパのジブラルタルには導入された集団が暮らし、「ヨーロッパで唯一のサル」として知られます。また、サハラ砂漠以北のアフリカ大陸で唯一の霊長類でもあります。


イフレン国立公園



今回訪れたのは、イフレン国立公園。ヨーロッパ風の家並みと街並みで、イフレンはモロッコのスイスと呼ばれています。秋冬はヨーロッパ並みに寒いです。一方、夏には避暑地として人気です。一帯はヒマラヤスギの森林を擁し、Vettelという場所から湧き出る水が人気です。ヨーロッパにも同じ名前の水がありますが別のものです。

観光客の車を覗き込むマカク。日本の観光サルのよう。。。

メス。性器が発達しています
あちこちで交尾するバーバリーマカク

イフレン国立公園は最もたくさんのバーバリーマカクが生息している場所です。駐車場には、バーバリーマカクが集団で登場します。かなり近くで観察することもできますし、サルから寄ってくることもあるので、メガネなどを取られないように注意を。

イフレンには、200種以上の鳥も生息しています。

美しいマツボックリ

イフラネ近郊。放牧が行われています

秋の黄葉がヨーロッパの雰囲気。見事なプラタナスの並木もあります


ヒマラヤスギの上で人間観察



2020/05/20

コンゴ民主共和国のマウンテンゴリラとレンジャーを救え!

レオナルド・ディカプリオ氏の環境保護支援に参加を!
マウンテンゴリラとレンジャーを救うための世界のミッション「ヴィルンガ基金」


新型コロナウイルス対策支援を開始したディカプリオ(Leonardo DiCaprio)氏たち、自然保護にもさらなる貢献


戦地・ヴィルンガ国立公園


「自然保護は戦争だ」ということをありのまま描いた衝撃的な自然保護ドギュメンタリー「VIRUNGA」(2014)がアカデミー賞候補にノミネートされたのは2015年のことでした。あれから5年。マウンテンゴリラの聖域ヴィルンガ(Virunga)は、何度も武装勢力に襲われ、多くのレンジャーや関係者を失いながらも、希少なマウンテンゴリラにどうしても会いたいと熱望する世界からの訪問者を受け入れてきました。




困難な状況下で、文字通り命がけでレンジャー達を指揮する公園長のエマニュエル氏は、人命やゴリラを失うたびに打ちのめされながらも、常に前を向いて、絶滅危惧種マウンテンゴリラの保護に力を注ぎ様々な場所で、世界の人々やリーダーたちに支援を訴え続けてきました。

ところが、いま、3つの極めてショッキングで大きな問題が立ちはだかっています。

武装勢力、新型コロナウイルス、エボラ出血熱に立ち向かうヴィルンガ国立公園


2020年3月はじめ、エマニュエル氏に届いたのは、エボラ出血熱が再流行を始めたらしいという知らせでした。エボラ出血熱は致死性の高い伝染病で、地元コミュニティに大きな負の影響をもたらし、世界からの旅行者を減らします。翌日、レンジャーが一人武装勢力に撃たれなくなったという知らせが入りました。

さらに、世界規模で、新型コロナウイルスが大流行を始めたのです。すでに昨年末から中国での大規模な流行があり死者が出ていましたが、今年の2月までは、それ以外の地域の人々はそれほど深刻に捉えていなかったように思います。ところが、3月に入ると、突然、カリフォルニア、ついでニューヨーク、大西洋の反対側のヨーロッパ、と、感染者が日を追うごとに激増し、重病者と死者数も見る間に信じられない数に。短期間のうちに、ほぼ世界のいたるとこで人々の命と健康が危険にさらされ、ツーリズムは打ちのめされました。4月に入ってもこのCOVID-19は猛威を振るっています。

ウイルスが国立公園周辺に入れば、高度で十分な医療体制のないアフリカのリモートエリアでは、致命的な被害がもたらされるでしょう。

また、ゴリラなど霊長類に感染する危険もあります。当面の間、訪問者がもたらす収入で国立公園を運営し、ゴリラと自然を守ることができなくなってしまいました。

その最中、酷く痛ましい来事が起きました。

4月24日、朝11時。公園事務所へ帰る途中だったレンジャーたちを武装勢力が攻撃しました。12人のレンジャーとドライバーの13人が殺されたのです。20代と30代のレンジャー。彼らの家族や友人、仕事仲間、そして世界の保全関係者の悲しみの大きさは言い尽くせません。


「ヴィルンガ基金」レオナルド・ディカプリオ氏、EU、エマーソンが支援を開始




ヴィルンガ基金への支援はこちらから。
https://www.globalwildlife.org/virunga-fund/

アマゾン森林火災にもいち早く支援を打ち出したディカプリオ氏、アース・アライアンスの一員であるEmerson Collective(故スティーブ・ジョブズ夫人、ロレーン・ジョブズ氏の財団)、ヨーロッパ委員会(EU)、が協力し、200万ドルをまずシード基金(最初の元になる資金)として支援します。EUもEmerson Collectiveも、COVID-19対応に多くの資金を支援し、応援している中での、迅速な取り組みの決定です。あまりにも多くのレンジャーを失ったヴィルンガ国立公園の運営、家族を失い困窮に直面しているなくなったレンジャーの家族の支援、病気の伝染防止など、地域での必須の活動に役立てられます。

私たちも、自分で可能な範囲の金額の支援で参加できます。資金はすべてヴィルンガ国立公園保全のために使われます。


地元スタッフ養成の重要性


現在、私たちが直面しているようなパンデミックの状況下では、国際的な支援を国際スタッフが現地に届けることは大変困難です。現地でのオペレーション、資金の運用、報告など、あらゆる面において、地元のスタッフ、研究者の育成がますます重要になってきます。将来的に保全のキャパシティやオーナーシップを強化するためにも、ローカル・スタッフの育成と国際社会との連携をどのように構築していくかは、コロナ大流行下で強調されてきた課題といえるでしょう。

そして、すぐに対応出来る柔軟で迅速な体制が必須。新型コロナを楽観視してきちんとした情報と理解に基づいた判断ができず、対応がもたもたしている国では、被害が甚大になっています。命を守る仕事である自然保護も同じです。

日本の人々にとっても他の世界の話ではありません。コロナ禍で図らずも多くの人が理解したように、世界のどこかで起きている問題は、いつか私たちの足元にやってくるのです。以前とは比べものにならないスピードで。


GWC(Global Wildlife Conservation)のプレスリリース(英語)はこちら



2019/08/28

燃えるアマゾンに新たな取り組み

レオナルド・ディカプリオ氏ら、ブラジルの森林火災に、500万ドルの支援

翻弄される森林


「ああ、ブラジルの自然にとって最悪の選択だ。」去10月、ボルソナロ氏がブラジルの大統領に選ばれたとき、長い自然保護の経験を持つアメリカの友人は、2016年にトランプ氏がアメリカ大統領に選ばれたときと同じくらい嘆いた。


ブラジルの農業は大規模に行われることが多い
彼の懸念はすぐに現実になっていった。多くの開発が競争のように進み始めた。アマゾンの熱帯森林の伐採ペースが加速したと国際的に報道されている。ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は、森林伐採は、1分ごとにサッカーコートの1.5倍の面積が失われるペースに達しているという。かけがえのない世界最大の森林が急速に失われている。




アマゾン森林火災



そして、今年。アマゾンの森林火災は破壊的な規模になっている。8月のG7でも主要な課題として議論され、2000万ドルの緊急支援が発表された。この支援に関しては、すぐにボルソナロ氏の反発があり、今後どのような展開になるのか気がかりだが。

WMO(世界気象機関)のツイート。ブラジルなどを火災による煙が覆っている


ESA(欧州宇宙局)の宇宙飛行士による森林火災の煙の写真



ディカプリオ氏とEarth AllianceとAmazon Forest Fund



民間の支援も動き出している。世界的に人気の俳優、レオナルド・ディカプリオ氏が今年立ち上げた Earth Allianceによる500万ドルの森林保護への支援Amazon Forest Fundが表明された。

このEarth Allianceは、今年7月に立ち上げられたばかりの新しい環境保全のパートナーシップだ。地球環境を守るために、俳優で環境活動家のディカプリオ氏と、Apple社創始者でiPhoneを生み出したスティーブ・ジョブズ氏の未亡人、ロリーン・ジョブズ氏、そして、生物多様性保全をミッションとし、特に絶滅危惧種の保護に取り組むNGO、グローバル・ワイルドライフ・コンサベーション(GWC)の会長、ブライアン・セス氏が力を結集させた。セス氏は若い実業家で、他の二人よりも日本では知られていないかもしれないが、やはり今年5月、大学卒業生の学費ローンを全額負担すると演説して世界の注目を集めたロバート・スミス氏のビジネス・パートナーだ。

 Earth Alliance
アライアンス結成早々に直面した地球環境の危機に、ブラジルのNGOと協力して森林破壊防止を支援するという。GWCは新しい団体だが、野生生物を守りたいと情熱を持つ世界的に著名なサイエンティストや環境保全家のプロフェッショナル集団だ。国際環境NGOのWWFやCIの出身者が多く、IUCNの主要メンバーも多い。アマゾンでの自然保護、先住民支援事業に携わるグループとのネットワークは、他に例を見ない。政治家たちとは違うアプローチで、実際の成果につなげて欲しいと期待している。



今年の異常気象はブラジルだけでなく、ヨーロッパには最悪の熱波をもたらし、日本でも、九州などで異常な雨量を記録した。インドネシア、アラスカ、ポルトガル、他にも多くの地域で森林火災が頻発している。人の暮らしも、野生生物の命や生きる場所も奪っていく森林火災。燃えている地域だけの問題ではない。Amazon Forest Fundは多くの人からの支援を呼びかけている。ディカプリオ氏らの取り組みに参加するのも地球を守るのにできることの一つかもしれない。

Amazon Forest Fund の詳細はこちらから


2019/06/29

プラスチックゴミを減らせ!

プラスチックゴミで溢れる西アフリカのビーチ。
リゾートホテルのすぐ脇だが、泳ぐ気にはなれない。

プラスチックゴミに取り組む世界


G20が大阪で開催されている。ここでもプラスチック問題が議題に挙がっている。

このところ、多くの国際会議で議題となっているプラスチックゴミ。協調して取り組んで行こうと、他の環境問題に比較して意外にすんなりと合意されているのは、取り組みやすい課題であり、目に見える効果をアピールできるからだろう。無料で配布していたストローやショッピングバッグを取りやめることは、企業にとっても、他の企業が同時に取り組む場合には、大きな壁にはならないということだろう。

ケニアの国連事務所内のカフェに
掲示されていたポスター
実は、日本はプラスチック問題への取り組みではかなり遅れをとっている。

フランスは2016年にプラスチックのカップや皿を禁止しているし、2020年1月には、使い捨てのストロー、ショッピングバッグなどが違法になる。それに先立ち、イギリスは、2015年にプラスチックバッグに税金をかけている。2018年には、EUが2021年までに使い捨てプラスチックを禁止することに合意。カナダのトルドー首相も今年6月に禁止の方向を表明したところだ。

日本では、ようやく買い物でのプラスチックバッグの有料化が見込まれているが、現在でも、買い物のたびに無料なら袋をもらう買い物客がまだまだ多い。ひどいことに、有料になる前に溜め込もうというような、プラスチックゴミ対策の趣旨を理解していない市民もいるようだ。プラスチックゴミに関する報道は増えているし、国際協調に関しても報道されているのに、市民のレベルでの地球市民としての自覚はかなり低い。



先を行く東アフリカの国々


一方、アフリカでは取り組みが進んでいる。ケニアはすでに2017年に使い捨てプラスチックを違法としている。なんと逮捕者すら出ているという厳格な取り組みだ。

リンク:ケニアのプラスチック禁止に関するガーディアンの記事


2018年夏、ナイロビの国連事務所で行われた国際ワークショップに参加して1週間ほど滞在した際には、スーパーでの買い物のたびにエコバッグを持参しなければならなかった。カフェでもプラスチックはもちろん禁止。ストローは紙製だ。ワークショップの記念品も紙製ストローだったのが印象深かった。

紙製のストロー
最初は、UNEP(国連環境計画)の本部があるナイロビならではなのかと思ったが、どうやら国全体で広く認識と取り組みが行き渡っているようだ。それだけプラスチック汚染が深刻なことも一因だろうが、罰金や拘束などの厳しい処置も効果を上げているのかもしれない。もともとプラスチック製品産業がそれほど大きくなかったことも立法・施行しやすかった理由の一つだろう。

タンザニアも後に続いた。違反者は罰金を科せられる。東アフリカでは、自然を求めて訪れる観光客がもたらす収入の割合が大きいので、プラスチックゴミの削減は国のイメージと収入確保に貢献するだろう。

実は、もっと早く取り組みを始めていたのはルワンダだ。2011年に訪れたときには、すでにプラスチックバッグが禁止されていた。スーパーでは紙袋のみだったが、冷たいものを入れたら濡れて破れてしまい「プラスチックの袋はないの?」と聞いたら、「牢屋に入れられるよ!」と、いったい何を考えているのだ、というような表情で返事が返ってきた。貴重なマウンテンゴリラに会いに訪れる観光客にとってルワンダのクリーンなイメージは美しい思い出作りに貢献する。ルワンダの経済発展のスピードを見ると、この国の政策が周辺諸国にもたらしているインパクトに納得する。

プラスチックゴミのないハワイのビーチ。
アザラシが時々昼寝にやってきて観光客を楽しませてくれる。


プラスチックゴミの脅威は加速度的に増している。とりわけ海洋汚染は深刻だ。太平洋の真ん中には大きなゴミの集合が浮遊しているし、すでに細くなって海水に溶け出したプラスチックがもたらす被害の研究報告を読むとぞっとする。目に見えるゴミとしても処分できなくなる日も近いだろう。今まで外国に輸出していたプラスチックゴミが受け入れられなくなり日本やヨーロッパの国々に戻される可能性が高いという。



2017/12/30

白い崖のセブンシスターズでバードウォッチング

白い断崖、セブンシスターズ。最近、中国人観光客急増中で、
現地の人に聞くと彼らは「伝説」を求めて訪れるとか・・

ロンドン発ブライトン行き


冬のロンドンで青空が見える日が続いたのは、とってもラッキーだったが、クリスマスデコレーションの華やかさと、買い物や観光の客たちで賑わう通りにしばらくいたら、ちょっと抜け出して海が見たくなってしまった。

イギリス北方面は寒いので、南部の海岸に行くことに決めた。日本では「海なし」の数県を除けば海行くのにそれほどの時間はかからないように、イギリスも島国なので、大抵の町からは最短距離の海岸に数時間の移動で行くことができる。

今回向かうのは、ビーチリゾートで知られるブライトン。ロンドンを出たのはお昼だったけれど、日が短いせいか、到着した時はすでに真っ暗だった。

翌朝、7時。まだあたりは暗い。頻繁に通っている12番のバスでセブンシスターズまで行くことができる。大抵の乗客は地元の人のようだ。観光でイギリスの2階建バスに乗るなら、特等席は2階の最前列。進行方向右は海岸で左には住宅地。かなりの各駅停車で2時間近くかかったけれど、細い住宅地の道やセメント工場の脇を通り抜けて行く道中を楽しめた。


イギリスの自然を楽しむフットパス


セブンシスターズ近くのフットパスの脇を流れる川。
白鳥が2羽浮かんでいた。カヌーに乗ることもできる。

イギリスでは自然の中を歩くことをみんなで楽しもう、という精神で、国中にフットパスが巡らされている。大抵は農村部にあり、羊などが逃げ出さないように柵はあるが、通行者が開け閉めすることができる。


セブンシスターズは国立公園だ。面白いことに、国立公園案内リーフレットは、崖の雄大な様子を一番よく見たいなら、崖すぐそばの道でなく、少し離れたフットパスを通り農家のコテージの裏に出るようにと紹介している。

幾つか海岸に出るパスがあるが、時間がない場合は、農場を通るこのフットパスが一番だろう。しかも、このフットパスでは一番多くの種類の鳥に出会うことができる。

バードウォッチング


シーズンオフの早い時間に訪れたせいか、ほとんど人は歩いていなくて、時々、犬を散歩させている地元の人とすれ違ったくらい。双眼鏡を携えているビジターは、このときはわたしだけだった。まずは水鳥に出会う。カモ類、サギ、チドリ、シギ、カモメなど次から次に水鳥が現れる。なかでもカナダ雁の群れは相当の数で迫力があった。じっと川辺に立っているのはアオサギ。砂地をシギが数羽ちょこちょこ歩いている。川面に輪があり、少し見ていると潜っていたスズガモが浮かび上がる。川面に出ている杭の上では、鵜が黒い羽を広げる。

コマドリ(ロビン)
このパスはバーダーには嬉しい環境で、海岸、沼地、草原、崖、農場にあるヤブ、と多様な鳥の生息地があり、多様な鳥の観察にもってこいだ。崖の脇には、ツグミ、コマドリ、藪から、ヒタキ、コガラ、ヒガラ、他に、種はわからなかったけれど、黄色の顔のムシクイっぽい小鳥、ケラ類などが飛び立ち、少し進むのにかなり時間が経ってしまうくらい、鳥見を楽しむことができた。

いちばん楽しませてくれたのはコマドリで、シャイですぐ飛び立ってしまうが、やや暗い景色のなかでは腹のオレンジがかなり嬉しい気分にさせてくれた。

危険な断崖。海近くまで階段があり
降りることができる
崖のすぐそばにもコマドリがたくさんいたので、写真をとろうとした。すると、地元の方が近づいてきて、「最近崖が崩れやすくなっていて、端まで行って落ちる人がいるの。落ちたら私たちの税金を使って引き上げるから、困るの。気をつけてね」とイギリス人らしい注意をしてくれた。この辺りの海岸は脆い素材のチョークでできているのだ。危険な崖だが、注意はあるものの、柵はない。

海岸もやや危険。別のパスを通って砂利の海岸まで出てみたが、ちょうど潮が満ちてくる時で、急に波がやってきたのだ。何かあれば誰かが助けてくれる、なんて見込みは通用しないのだ。







散策の後は公園内にあるカフェへ。食事やお茶メニューも充実!


ブライトンの街


午後に街に戻った。ブランドショップやおしゃれなカフェ、レストランが並び、観光客も多い。ロンドンから気軽にこれる海辺は本当に便利だ。ここに「宮殿」を作ったジョージ4世の時代から、ファッショナブルなビーチリゾートとして発展したそうだ。ロイヤルパビリオンでは、ジョージ4世の恥ずかしいくらいの浪費生活や当時の文化、世界大戦の時に、傷を負ったインド人兵士のための病院に使われたなどの歴史も紹介されている。

ブランドショップも多くリッチなブライトンはミニ・ロンドンと言われています








2017/08/19

グリーン・テキサス③ コウモリの大洞窟



久しぶりに体を動かすと、やけに動きが鈍くなる。これと同じことが文章を書くことにも当てはまるらしい。長いことブログを休んでしまったせいで、再開のきっかけをなかなかつかめなかった。

テキサスに行ったのはだいぶ前になってしまったが、もうひとつ紹介したい印象的な生き物がいる。

それは、コウモリだ。



世界最大のコウモリの乱舞


ここテキサスにあるブラッケン洞窟では、コウモリの大出現を見ることができる。

夕暮れ前に、コウモリの保護に取り組むBats Conservation Internationalのココさんと待ち合わせした。

地図を広げてメキシコオヒキコウモリ保護
プロジェクトについて説明してくれるココさん。
コウモリのデザインのピアスが素敵。
ここに住むコウモリは、メキシコオヒキコウモリ(Mexican free-tailed bats、学名 Tadarida brasiliensis)。なんと1500万もの大群で、世界最大の規模だ。夏の間、ものすごい数のコウモリたちはここで子育てをする。

まず、ココさんがブラッケン洞窟のコウモリと他の生き物との関係、ここでの保全活動に関してブリーフィングをしてくれた。コウモリは、害虫を食べ、糞を肥料としてもたらし、地域の農業に極めて重要な役割を果たしている。また、この地域の猛禽類などの野生動物にとっては、獲物ともなるという。


大洞窟からコウモリの大群が出現


洞窟の周りには蚊が多い。痒さに耐えながら辛抱強くコウモリを待っていたが、なかなか姿が見えなかった。が、少し暗くなってきた頃、ココさんが数匹が動き出したことに気づいた。「始まるわよ!」すぐに洞窟の入り口にたくさんのコウモリが現れた。




彼らはまるでプログラムされているかのように徐々に外に飛び出し連隊を作る。その先がずっと先まで伸びていく。コウモリが形作る螺旋は、形を変えながら何度も大きく回転し、洞窟に戻っていく。螺旋は、何パターンの動きを作り出せるのかを試しているかのように、何度も何度も動きを繰り返す。地上から見ると、まるでドラゴンが空を駆けていくようだ。そういえば、東南アジアの龍の伝説は、コウモリが空を飛ぶ様子から生み出されたという説が有力である。





見事な動きがずっと続いた。しかし、外には危険がある。タカやフクロウなどの猛禽類に捕まり餌になるのだ。彼らがほぼ同じ時間に同じ場所から現れることを捕食者たちは知っていて、特に洞窟から飛び出したばかりのタイミングで狙われやすい。コウモリが動きだすと、穴の上にタカが現れ、コウモリを捕らえて行った。

メキシコオヒキコウモリは重要な食物連鎖の一員

あまりにたくさんのコウモリが飛び交うため、空中で衝突して絡まり地上に落ちてくるものもいる。コウモリは特殊な音波を出して衝突しないように飛ぶことができるそうだが、ここまでの大群だと完璧に衝突を避けることはできないのか。

落下したコウモリは、死んだり、気絶したりする。そんなコウモリを狙って蛇やアライグマがやってくる。コウモリたちはこの地域の生き物にとって重要な食料となっているのだ。

空中で衝突して落下したコウモリ。
感染症の危険があるため触ってはいけない。


この大洞窟には、大学の研究者が定期的に訪れている。研究者が撮影したビデオもYou Tubeなどで公開されている。穴の先には広大な洞窟が広がり、数メートルもコウモリのフンが積み上がっていて、ニオイもなかなか。洞窟の中を歩くのはなかなか大変そうだ。

黒い宝石のニオイ 〜コウモリと南北戦争


フンといえば、ブラッケン洞窟のコウモリは、1860年代にアメリカ南北戦争で重要な役割を果たした。フンから硝石ができる。南部側に加わったテキサス州の戦士たちは、コウモリのフンを銃の火薬に利用したのである。また、1900年代には、フンは肥料として、周辺に農地を抱えるこの地域の重要な産物になる。フンは「黒い宝石」と言われたそうだ。コウモリたちが飛ぶ下に、当時のコウモリ小屋の跡を見ることができる。

コウモリのフンについて設営するボード

コウモリを守る


ココさんは、バット・コンサベーション・インターナショナルでボランティアとして環境教育活動を行っている。

この洞窟の周辺には農地が広がっているが、サンアントニオ市から近く、都市化の波が迫る。もしブラッケン洞窟がなくなってしまえば、1500万匹ものメキシコオヒキコウモリが生きていくことが難しくなる。このコウモリがもたらしてくれた農業への恩恵はなくなり、生態系も大きく変わってしまうだろう。その影響は、テキサスだけにとどまらず、冬を過ごしてきた温暖なメキシコの生態系や人々の営みにも影響を及ぼすはずだ。

土地を買うという自然保護


バット・コンサベーション・インターナショナルは、まずブラッケン洞窟を1992年に購入。次に周辺の農地を購入していった。2014年(ハロウィーンの日!)に自然保護NGOネイチャー・コンサーバンシーが洞窟につながる615ヘクタールを購入し保護活動が後押しされた。しかし、コウモリが飛んでいく方向には大きな市街地がある。まだまだ取り組むことは多い。

ココさんは、小学生や市民にコウモリの面白さや重要性について語り続けている。






ブラッケン洞窟のコウモリと生態系を守るために、Bat Conservation Internationalが10月4日にランニングイベントを行います。コウモリのダイナミックなフライトのビデオで情報をチェックしてみてください。







2016/08/12

グリーン・テキサス② カメ探し

すこぶる美味のドイツソーセージのランチを楽しんでいる間に土砂降りの雨も止んだので、自然保護区に戻った。雨が止まなくてもカメ好きの同行者に引き戻されていたに違いないが。

豪雨のあと水かさが増した川


見づらいのですが、
そのとき現れたペインテッド・バンティン
川の水かさがかなり増し、流れが急になっている。お目当てのマップ・タートルは下流に流されてしまったかも。。

ひとまず岸近くの遊歩道に降りると、美しいさえずりが聞こえてきた。艶やかな色をしたペインテッド・バンティンだ。バンティンは比較的高いところにとまってさえずる。オレンジのお腹とブルーの羽という美しい体色のおかげもあって見つけやすい。

カメ好きの同行者は、カメを探してずんずん川沿いの薮の中をかき分けて進んでいく。わたしは整備された遊歩道の上を歩きたかったが、言い出す前にクツはびしょ濡れでドロドロだ。ああ、もう仕方ない。

川の中にカメは見つからない。カメ専門家がすすめてくれたカメ観察ロケーションだ。ぜったいいるはずなのに、見つけられないのは豪雨のせいだろうか。

「いたぞ!」と大きな声。30センチ弱くらいの大きなカメが草むらを歩いている。雨上がりに草むらに産卵に来たメスのカメではないか、との推測。このカメがマップタートルかどうかを専門家に聞くために、写真を送信する。裏返すとお腹は少しオレンジ色だった。

雨上がりに草むらを歩いていたところを見つかったカメ

ファッションモデル並みにかなりの数の写真を撮られたあと、カメは水の中に帰っていった。その川のなかに目を向けると、なんとたくさんのカメたちが首を水面に出してぷかぷか漂うように泳いでいる。すごい数だ。やはりカメはこの川にいたのだ。しかしまだ彼らがマップタートルかどうかわからない。

「野うさぎがいるよ」。川辺にすんでいるらしいウサギをわたしが探している間に、いつのまにかずっと先をあるいていたカメ好きは、電光石火で川岸に浮かんでいた子ガメを捕まえた。さっきのカメと同種なのだろうか。甲羅がまだ小さいためか少し違うようにも見える。いくつかの種のカメはとてもよく似ていて、素人には見分けがつかない。また専門家に写真を送る。この子ガメも写真とビデオのためにしばらくポージングをさせられた。


つぎに水の中に入れて観察しようと、近くにあったゴミ箱から紙コップを拾い川の水を入れてきてカメを入れてやる。プカプカと手足を動かす様子が可愛い。




さっき写真を送ったカメ専門家からメールが来た。テキサス・リバー・クーターというヌマガメの仲間らしい。テキサス州の川や湖に生息しているカメだ。残念ながらマップ・タートルではなかったが、新しい種のカメを見ることができて大満足の嵐の日。

川岸で目を出しているカエル。見つけられますか?

地面にあがったカエル


2016/05/23

グリーン・テキサス① 豪雨

近頃、テキサスに投資が集まって、ずいぶんと景気がよいそうだ。あちこちでオフィスビルも作られているとか。それまでわたしの持っていたテキサスのイメージと言えば、西部劇やバーボンの本場ということくらい。そんなテキサスを訪れる機会がやってきた。自然保護NGOとのミーティング。そのあとでいくつかの自然保護区を訪問することに。

テキサスの観光地。アメリカの歴史を学ぶ上で重要な場所。



高層ビルから見る雨の様子。
ここから見る雷は迫力あり。
まず訪問したのは、自然保護NGOのオフィス。1階にスターバックスが入っている高層ビルの高層階。大きなガラスの窓から、テキサスのオフィス街中心部が一望できる。辺りには建設中のビルがいくつも。「すぐそばの橋の下に、コウモリの大群がすんでいるんだ。夕方、一斉にエサをとりに飛び立つ様子は必見だよ。毎日、大勢が見物に来ているよ」と、生物学者のスタッフが大きな窓から大通りを指差した。

夕立

立ち上がって窓に近づいたときだった。突如、橋の方向に閃光が走った。気がつくと橋の方角には黒く厚い雲が広がり辺りが暗くなっていた。大きな雷鳴とともに、大きな音をたてて激しい雨が降り始める。先週までしばらく雨の降らない日が続いていたが、この数日はめまぐるしく天気が変化しているという。気候変動の影響なのか、近頃は、いままでどおり雨の時期がやってこないし、突然豪雨になるし、とにかく天気が荒々しくなっているようだ。そういえば、ワシントンからのフライトでも、先に出た便がかなり揺れたとアナウンスされていたなあ。

洪水警告音を聞きながら自然保護区へ

テキサスの有名人といえば、ブッシュ元大統領。目指す自然保護区に向かう途中、彼の農場がある辺りを通り過ぎる。初夏。道路の両側にはワイナリーや農場が広がり、緑が濃い。小川も多い。まったく映画の西部劇の景色とは違う自然豊かな土地だ。


テキサスには丘が多い。
道路の両側には濃い緑が広がるが空はどんよりムード。


宿泊先を出発する前に、スマートフォンが大きな警告音を鳴らし始めた。「Flood Warning」洪水警告だ。「低い場所から直ちに退避!」と表示。最近のスマートフォンの機能は頼もしい。ドライブの途中でまたも警告音。何度か川の近くを通り過ぎたが、そのたびに不安になる。この時期、洪水で被害者が多く出ており、前日も死者と行方不明者がでていた。

自然保護区に到着する頃には、空は黒い雲で覆われ、ときどき稲光が走り、わたしたちのスマートフォンは、警告を鳴らし続ける状態が続いていた。雨が降り始める。公園事務所に着いた頃には土砂降りに。公園で生き物探しのまえに、まずはランチをしながら雨のあがるのを待つことにした。お目当てのマップ・タートルに会いにいくぞ!

到着したときには乾いた通路。豪雨の後は急流に変身。

テキサスにはドイツ移民が開拓した村がある。ドイツレストランでランチ。
カレーソースのソーセージ。美味♡

ランチの間に雨があがった。よし、公園に戻ろう!