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2013/11/29

パンタナル湿原の生き物たち ②鳥

水の豊かなパンタナルでは、多くの水鳥を始め、たくさんの鳥を見ることができます。平地が多く、鳥が留る木も比較的分散して生えていて視界を確保しやすいため、バードウォッチングに格好の場所です。

ジャビル。コテージのすぐそばの池で


コウノトリの仲間の巨大な鳥、ジャビル(Jabiru)にもすぐに出会えました。羽を広げると本当に大きくて、圧倒されます。空を飛ぶ姿は優美で、飛行機に乗っているときにその横に並んで飛んでいるのを見ると、わくわくします。

ヒヤシンスインコ(Hyacinth Macaw、スミレコンゴウインコともいうようです)は、バードウォッチャーのバイブル(?)「BIRDS OF BRAZIL-Pantanal and Cerrado」(John A. Gwynne他)の表紙になっている鳥です。ペットとして捕まることが多く、1980年代には1500羽まで減ってしまいましたが、1990年代に始まった保全プロジェクトが成果をあげ、15年間に3倍まで個体数を増やすことができました。

ヒヤシンスインコのペア

保護プロジェクトのスタッフに抱えられるヒヤシンスインコのひな。
成鳥の羽に生え変わる途中


ほとんど体の大きさくらいあるくちばしを持つオオハシ(Toco Toukan)も人気の鳥です。鮮やかなオレンジ色のくちばしのこの鳥が、青空を背景に飛んで行く様子にはうっとりしてしまいます。

オオハシ

木の穴から顔を出すオオハシ


インコやオウムの仲間は、色鮮やかです。たくさんの種類がいますが、くちばしや羽の色で見分けることができます。

Turquoise-fronted Amazon。体長は約38センチメートル


パンタナルでは、タカなどの猛禽類も多く見られます。狩りの様子も頻繁に見ることができました。サバンナホークやその名もロードサイドホークなどを農道からよく見かけます。

サバンナホーク(Savanna Hawk)。体長約60センチメートル

農場のオーナーのリタさん。超一級のネーチャーガイド


滞在したコテージのオーナーのリタさんは鳥に詳しく、名前や種だけでなく、いつどこでどんな鳥が見られるかかなり完璧に把握。写真を撮る間もじっくり待ってくれます。日本人ファンも結構いるみたいで、ビジターノートには日本語の感謝・感激のメッセージがいくつも寄せられていました。


2013/11/19

パンタナル湿原の生き物たち ①ホ乳類

南米パンタナル湿原では、多くの野生動物に出会うことができます。アフリカのサファリを楽しんだ人々が、大型の鳥たち、ほ乳類、は虫類を見るために次に訪れるのが、実は、ここパンタナルなのです。

乾季でも川の周りには緑が広がります。ここにはオオカワウソがいます

固有種は少ないのですが、多様な生き物がいます。植物は3500種、ほ乳類は124種、は虫類は177種、両生類は41種、そして、少なくとも423種の鳥がいます。淡水魚は325種が確認されています。

参考:「PANTANAL-South America's Wetland Jewel」Russel A. Mittermeier 他, 2005年


パンタナルのスター的動物といえば、カピバラ。世界で最大のげっ歯類でネズミの仲間です。おとなしい性格といわれ、日本の動物園でも人気者。群れでいることが多く、のんびりと草を食む様子がかわいくて、目を細めるとこっちまで気持ちが和みます。泳ぎが上手です。

カピバラと小鳥(おそらくyellow-bellied elaenia)
群れで泳ぐカピバラ。水のなかにいると生き生きしてみえます

オオアリクイもパンタナルの代表的な動物です。不思議なことに、あるファゼンダ(農場)では全くオオアリクイを見つけられなかったのに、別のファゼンダには、たくさんのオオアリクイがいました。人間をあまり気にせず、食事(アリ)に専念していました。

オオアリクイは、木の根の下にすむアリ探査に夢中

アリヅカ。シロアリは、アリクイやオオアルマジロの食料です

オオアリクイが見つけられなかったファゼンダでは、コアリクイに出会うことができました。しっぽの形が全然違います。オオアリクイはふさふさでしたが、コアリクイのしっぽは細いです。

夜のサファリで出会ったコアリクイ。ぬいぐるみみたい

草原でときどき出会えるのが、アルマジロ。オオアルマジロには会えなかったのですが、ムツオビアルマジロを何匹か見かけました。

走り去ろうとするアルマジロ
ウシの群れの中を走り去るアルマジロ

動物を見に行くサファリは、朝や夕方の他、夜もありました。闇の中では、昼間とは違う顔を見せる動物たち。ジャガーやキツネなどのハンターもいます。写真がかなり不鮮明ですが、ご参考になればと思ってのせました。

ジャガー。美しい!
パンタナルのキツネ(club-eating fox)

パンタナル湿原。日が沈んだ直後。光がきれい。杭の上に鳥。カピバラが泳いでいます




世界で最も美しい場所のひとつ。南米のパンタナル湿原を飛ぶ

南米の真ん中、ブラジル、ボリビア、パラグアイにまたがって広がる湿原パンタナルへ行ってきました。南米の宝石ともいわれるこの湿原には、乾季と水が氾濫する時期があり、季節的な氾濫の時期には、広い大地が水で覆われ多くの生き物であふれます。その生態系の貴重さから、2001年にユネスコの世界自然遺産に登録された、21万平方キロメートルの世界最大の湿原です。

パンタナルの7割はブラジル。2割がボリビア、1割がパラグアイ

ここでの日常の移動は、まず小型飛行機。とにかく広いのです。ファゼンダといわれる農場の間を移動する時も、飛行機が一番便利でした。

草地の部分は、洪水の時期には水で覆われます


低空で飛ぶので、眼下にウシの群れが草を食む様子や、仲間と飛ぶ鳥の群れを上から見て、まさに空中散歩。

飛んでいく鳥たちを空から見下ろす(ほぼ中央部の白い点々が鳥)

パンタナルに隣接するのが、ブラジルの草原地帯セラード(Cerrado。現地発音ではセハード)。サバンナ気候で、牧畜や近年は大豆生産などが行われています。NHKで2011年に放送された番組で、福山雅治さんが印象的な光るアリ塚を観察した場所です。セラードの標高は、約1000メートル。この広い台地を横切ると、急に土地が海抜100メートル程度に落ち込み、パンタナル湿原が現れます。その境目にあるのが、巨大なサンドストーンの崖。

前方のサンドストーンの崖から先がパンタナル。眼下のセラードはサバンナの台地です。
パイロットが崖の近くを飛んでくれました。
セラード。放牧地と農地が広がっています。

雨季に訪れたときのパンタナル。水で満たされています。

パンタナルはその歴史的背景、土壌の性質、植生、主要な川によって、10の地域に分けられます。11月から3月が雨季で、年間に1000から1700ミリの降水量があります。



2013/11/01

カエルが名物?! 中世の町並みが魅力のスペイン・サラマンカ

WILD10が開催されたサラマンカは、スペインの首都マドリッドから車で約2時間の距離に位置します。サラマンカの旧市街は、中世の面影を感じさせる石の道と暖かみのある色の石の建物が並び、とても美しく、ユネスコの世界遺産に登録されています。

サラマンカ旧市街


この街の名物はなんとカエル。街のお土産物屋さんにはずらっとカエルグッズが並んでいます。その由来は、市の中核ともいえるサラマンカ大学の壁面をみるとわかります。いや、実は一見ではわからないかも・・。じーっと目を凝らして探すと、カエルがいるんです!「誰の助けも借りずに見つけると願いが叶う」とも言われているので、あえてここではアップ写真をのせませんよー。

街にあふれるカエル土産たち。合格祈願に買って行く人も多いとか

大学前のカエルグッズ売りのおじさんが
カエルの場所を教えてくれちゃうかも(^ ^;)
このおじさんの売ってるグッズは他の
お土産屋さんにはないものばかり

サラマンカ大学の前壁。装飾に圧倒されます


市の中核とも言えるこのサラマンカ大学は、オックスフォードやパリなどとともにヨーロッパで最も古い4大学の一つ。サラマンカは学生の街なんです。

Plaza Mayor。いつも観光客で賑わっています。観光案内所もこの一角に


スペインの名物といえば、小皿料理タパス。いろいろな料理を少しずつ注文できて便利です。お手頃価格で美味しいスペイン・ワインをお供に楽しむことができます。ここには、お昼寝の習慣があり、ランチタイムの後、多くのお店は閉まってしまいます。そして夕方から営業再開。そして、夜中まで賑やかさが続きます。

名物イベリコ・ハムのタパス!絶品


経済危機に見舞われていたスペインは、WILD10で取り上げられた「ヨーロッパの原生自然回帰」を伝えるのに、実はなかなかのロケーション。困難な経済状況ために開発が行われなくなった結果、植生や野生動物が戻ってきているからです。今こそ、新たな道を見つけるチャンスのときといえます。


ところで、「原生自然」というと、なんだかピンとこない人が多いかも。「ありのままの自然」と訳すとわかりやすいかもしれません。

人の生活との調和の中で保たれる里山のような自然もありますが、手つかずだからこそ守れる自然もあり、そういう場所が残っているからこそ、まだ私たちの気づいていない多くの恵みが保たれ、多くの生き物や人の生活も支えられています。