世界自然公園会議(WPC)のテーマ
The World Parks Congress(世界自然公園会議、略してWPC)の正式名称は、IUCN World Congress on Protected Areas(世界自然保護連合保護地域会議)。自然環境や生物多様性を守る上で重要な仕組みである保護区に関して話し合う国際会議です。自然を守る上での資金の重要性について話すGEFのトップ、石井菜穂子氏。 |
IUCNは、1948年に設立された世界最大の自然保護のための国際機関で、国連総会の公式オブザーバーです。国やさまざまな国際機関、NGOなどの1200以上がメンバーになっています。日本にも事務局 (IUCN日本委員会)があり、歌手のイルカさんが親善大使をなさっています。なお、”Parks”は、訳すと「公園」ですが、ここでは、Protected Areasの意味も込めて「自然公園」と訳しています。
ここでの議論は法的な拘束力を持つものではありませんが、今後の世界の取り組みに関する提言や方向性の議論、問題認識の共有、情報収集などが行われ、議論の内容は、関連する条約や国際社会の動向、国の政策、専門家グループの活動などに大きな影響を持ちます。
1962年に始まり、10年ごとに開催
今回のシドニーでの会議は、第6回世界自然公園会議です。世界自然公園会議は、1962年に第1回がアメリカのシアトルで開催されてから、10年ごとに開催されてきました。これまでの会議の開催年は、環境に関する大きな機運があった年と重なります。第2回は1972年に、世界初の国立公園となったイエローストーンで開催され、自然公園でのエコツーリズムや、国立公園の運営、社会的、科学的、環境的な課題について議論されました。この年は、ストックホルムで国連人間開発会議が開催された年です。また、当時は日本で自然環境や公害対策への関心が多いに高まった時期で、1971年に環境庁が設置されています。
第3回は、1982年にインドネシアのバリ。次の1992年にベネズエラのカラカスで行われた第4回の会議では、2000年までに陸地の10パーセントを保護区にするという目標が立てられました。まこの会議は、ブラジルのリオデジャネイロで世界的に環境への関心を高め、環境に関する重要な3つの国際条約やアジェンダ21が生まれた「地球サミット」の直前に開催されました。
前回から11年目の2003年に南アフリカのダーバンで開催された第5回の会議では、保護地域に関する宣言「ダーバン合意(アコード)と行動計画」、ワークショップからの32の提言、「生物多様性条約へのメッセージ」などがまとめられ、画期的な成果を上げました。