http://www.theguardian.com/world/2013/aug/16/ecuador-approves-yasuni-amazon-oil-drilling
南米の熱帯雨林(注・エクアドルではありません) |
2010年に、エクアドル政府とUNDPが自然保護基金を設立。2023年までを期限に、保護に必要とされる72億ドルの半額の36億ドルの寄付と投資を、国際社会から募りました。無印良品で知られる日本の株式会社良品計画も20万ドルを寄付。自然保護の新しい仕組みの構築として、国際社会から注目されていました。
参照(日本語):http://yasuni.blog.so-net.ne.jp/
ところが、石油会社と中国が、石油販売を背景にエクアドルへの多大な融資を表明。一方、基金への寄付と投資は、1300万ドルしか集まらなかったのです。政府は自然保護から一転し、採掘を決定。コレア大統領は、国際社会が責任を果たさなかったためとしています。
国連環境計画によれば、地球上の生物の減少は、1970年に比べ30パーセントも減っており、さらに、エクアドルのような熱帯地域では、その倍のスピードで生物が減少しているそうです。この石油採掘の影響は、国立公園全体の1パーセント未満とコレア大統領は言っていますが、採掘のために新しい道路が造られれば、広範囲に影響が及ぶと懸念されています。
経済的・金融的で、国際的で、画期的な仕組みと思われていた自然保護の手法が、成功しなかったのです。なぜ、”国際社会”は“責任”を果たせなかったのでしょうか。気候変動問題への国際的な関心が低下したからでしょうか。あるいは、世界の経済事情の変化のためでしょうか。エクアドル政府とUNDPの営業活動(基金への呼びかけ、実際の資金集め)が十分かつ効果的に行われていたのかについても、見直す必要があります。さらに、もともと保護に必要と思われる金額をどのように試算したのかについても、検証が必要でしょう。
石油にまつわる資金支援は、この森林がもたらす価値よりももっと大きなものをエクアドルにもたらすのでしょうか。短期的には経済的に国を潤すかも知れません。でも、失うものはかけがえのないものです。三世代あとの人々からは、残念な判断としたと言われるのかもしれません。